関電 原発マネーの闇(下)

不作為、隠蔽…崩れた関西電力の企業統治 

 「国民が怒り」「ほかに不正はないのか」。臨時国会が始まった4日、野党は関西電力役員らの金品受領問題をやり玉に挙げ、役員の参考人招致をちらつかせた。関電の筆頭株主の松井一郎・大阪市長も同日、関電が設ける新たな第三者委員会に市推薦の人物を入れる要望を拒否されれば、株主代表訴訟も辞さない考えを示し、こう述べた。

 「もし断ったら、関電が身内でお手盛りの委員会を作るということでしょ。それだと『うまくごまかそう委員会』だ」

*  *  *

 今回の問題は、関電が公益企業としてのコンプライアンスを著しく欠いた結果、内部統制が崩壊し、企業統治(ガバナンス)も働いていなかった現状を浮き彫りにした。

 福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)から受け取った金品は、個人が自宅や会社のキャビネット貸倉庫などに保管していた。「会社として管理してもらえないか」。ある幹部が何度か総務部門に相談したが「個人で何とかするしかない」との回答だった。森山氏と関わる社員の間では「会社全体の問題になってしまうので、個人で処理しなければならない」と引き継がれていた。今回の問題の調査委員会委員長の小林敬弁護士(元大阪地検検事正)は「前例踏襲主義のあらわれ。非難を甘受すべきだ」と指弾した。

 問題の内容は社外取締役に知らされていなかった。関電の再会見直前の2日に開かれた臨時取締役会。調査報告書を初めて手にした社外取締役らは内容に驚き、「電気料金を払ってもらっているのだから、開示すべきだ」と迫った。

 社外取締役は外部企業などから迎え、社内の利害にとらわれず経営を監視する。そこの軽視はガバナンスの放棄にほかならない。

 深刻なのは隠蔽体質だ。

 報告書がまとめられたのは平成30年9月。公表の1年以上も前だ。そもそも関電が事実関係の調査を始めたのは、金沢国税局による建設会社「吉田開発」(高浜町)への査察調査が端緒だった。金品の返却も半分以上が30年2月に集中していた。査察がなければ返却が進まず、公表されたのかどうか疑念はぬぐえない。

 そして、「原発マネー」が関電役員らに還流していたのではないかという疑惑は残ったままだ。

 森山氏については、金品を受け取っていた関電社員の一部が太陽光発電で情報提供していた。歴代の福井県幹部に贈答品を渡していたことも分かっている。「闇」はどこまで広がるのか。底はまだ見えない。

 この連載は安田奈緒美、岡本祐大、黒川信雄、林佳代子、藤谷茂樹、鈴木俊輔、吉国在、森西勇太、北野裕子が担当しました。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus