今日から使えるロジカルシンキング

ビジネスの「常識」は誰かの偏見 大塚家具社長は退任すべきか (3/3ページ)

苅野進
苅野進

問題4の解説 「どれか」で考えない

 ビジネスの交渉の場でよく使われるテクニックです。意図的に先方に都合の良い選択肢しか存在しないかのような前提となっています。苦しい選択肢だなと感じていても、急かされているような気がすると、「どちらなら大丈夫かな?」と先方の都合の良い選択肢という土俵の上に乗ってしまいますので、思うツボです。

問題4の解答例

  • ・すぐには対応しないという選択肢はない
  • ・他の部署から応援を呼ぶという選択肢はない
  • ・他の選択肢はない

「常識」は誰の常識か

 「論理的である」とは、前提から「正しく」推論しているということですが、スタート地点である前提自体が間違っていたり、隠れていたりすれば当然そこから導き出される結論には違いや違和感が存在します。利用している情報はしっかりと把握できているのか、知らずしらずのうちに明言しないまま使っていないかに注意しましょう。「常識」だと思い込んでいるものは、ビジネスの現場では多くの場合共有されていないものです。

Common sense is the collection of prejudices acquired by age 18.

常識とは18歳までに身についた偏見の集合体のこと。―アインシュタイン

 ビジネスの常識も同じように、自分の職場で身についた偏見であると自覚しておきましょう。

苅野進(かりの・しん)
苅野進(かりの・しん) 子供向けロジカルシンキング指導の専門家
学習塾ロジム代表
経営コンサルタントを経て、小学生から高校生向けに論理的思考力を養成する学習塾ロジムを2004年に設立。探求型のオリジナルワークショップによって「上手に試行錯誤をする」「適切なコミュニケーションで周りを巻き込む」ことで問題を解決できる人材を育成し、指導者養成にも取り組んでいる。著書に「10歳でもわかる問題解決の授業」「考える力とは問題をシンプルにすることである」など。東京大学文学部卒。

【今日から使えるロジカルシンキング】は子供向けにロジカルシンキングのスキルを身につける講座やワークショップを開講する学習塾「ロジム」の塾長・苅野進さんがビジネスパーソンのみなさんにロジカルシンキングの基本を伝える連載です。アーカイブはこちら

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