6月、総務省は寄付額の3割以下の地場産品を返礼品として認めることを決め、過度な返礼品競争を是正しようとしている。その一方、泉佐野市などは地方分権一括法に則り、「国と自治体は対等であり、総務省は助言を行うことはできても、規制はできない」と反発している。現時点で、国と地方の意見の対立がどう解消されるか、特定の見解を示すことは難しい。
本来の趣旨にもとづいた制度運営が必要
政府は、“地方を応援する”という本来の趣旨に立ち返り、ふるさと納税制度の運営を修正していかなければならないだろう。
ふるさと納税制度のアイデアそのものは、わが国が地方創生を進める上で重要と考える。少子化、高齢化、人口減少の3つが同時に進む中、地方から都市部へ移住する人が増えてきた。地方経済の維持には、各自治体が企業と連携して産業基盤を整備するなどし、持続的に地域の活力を高めようとすることが大切だ。
ふるさと納税は、こうした取り組みを支える枠組みとして創設された。納税者が各自治体の取り組みを評価し、応援したいと思うところに寄付を行う。それを用いて、自治体は自らの力で成長を目指す。さらに財源を確保するために自治体は、企業などと協力してより良いアイデアやモノを生み出そうとしなければならない。
各地の企業がより良いモノなどを生み出し、返礼品を通して消費者がそれを評価し、需要が喚起されるという好循環が生み出されれば、地方の経済活動は活発化する可能性がある。ふるさと納税には、地方創生を後押し、さまざまな展開に波及する側面があるといえる。
地域ブランドを創出するには
それをきっかけに、自治体・企業が評価の高かった産品のブランド化(地域ブランドの創出)を進め、都市部や海外市場での流通を目指すこともあるだろう。それは、地方の力で“ヒト・モノ・カネ”を呼び込み、自力で成長を目指すために重要な取り組みの一つとなろう。
ふるさと納税は、こうした本来の趣旨に立ち返って運営されるべきだ。ふるさと納税制度の根本的な発想が誤っていたとはいえない。返礼品競争が行き過ぎ、それがある程度の期間続いたことが問題だ。
政府と自治体は、納税額を増やさんがために、過度な返礼品をつけることを戒めながら、原点回帰を目指すべきだ。そのためには、政府が返礼品に関するルールを定めるだけでなく、趣旨に沿った成功例、そのケーススタディなどをより積極的に紹介し、原点にもとづいた運営への理解と賛同を自治体や納税者から得ていくことが求められる。
(法政大学大学院 教授 真壁 昭夫)(PRESIDENT Online)