働き方

学生が“大江戸エリアの捜査”体験 警視庁、事件捜査の「体感ゲーム」を導入 (1/2ページ)

 就職活動で学生に有利な「売り手市場」が続く中、警視庁は警察業務に関心を持ってもらうため、採用説明会などで事件捜査の「体感ゲーム」を導入した。採用試験の受験者は減少傾向にあり、職種でも刑事より地域の安全を守る交番勤務などへの志向が高まっているという。警視庁はゲームを介して、学生らに第一線の捜査活動の重要性について理解してもらい、犯人の摘発が被害者の安心につながるという刑事警察の意義を伝える考えだ。

 東京都千代田区で今夏に開催された警視庁の採用説明会「1DAYインターンシップ」で目玉となったのは、架空の地区「大江戸エリア」を管轄する大江戸署を舞台にした「警視庁警察官仕事体感ゲーム」だった。

 ゲームにはトラブルの解決や事件発生から犯人を特定する過程が盛り込まれ、参加した計約540人の学生らは若手警察官の指導を受けつつ、住民らの証言が書き込まれた地図と資料を基に現職警察官さながらの「捜査」を経験した。

 ゲームは2部構成で、前半は交番に勤務する若手警察官の業務を想定。メインとなる後半は、警察署の刑事組織犯罪対策課に配属され、刑事として働き始めたという設定になっている。「新米刑事」となった参加者には、多国籍窃盗集団による連続窃盗事件の容疑者を特定しアジトを突き止め、組織の「ボス」を逮捕するという任務が課される。

 警視庁の採用担当者はゲーム開発の経緯について、「刑事の魅力を伝えるには、事件現場の状況や盗みの手口、遺留物などを基に、容疑者の特定と組織の解明を目指すという捜査の流れを理解してもらうのが、最も効果的と考えた」と話す。

 警視庁が採用活動で「楽しみながら魅力を感じてもらう」(担当者)というゲームを導入した背景には、近年の受験者数の減少がある。

 採用予定人数自体は2千人規模で推移し、大きな変化はないものの、都内の試験では約3万人だった平成22年度をピークに右肩下がりとなっており、30年度は1万5120人にまで減少。合格倍率も22年度は12.5倍だったが、26年度以降は6倍前後まで低下している。

 同庁の担当者は「優秀な人材を集めるという意味で受験者の減少を問題視している。倍率も何とか食い止めている状態だ」と説明する。

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