CAのここだけの話

“持ってる”CAが遭遇した「空の珍事件」 多忙路線で突然の悲鳴… (2/2ページ)

南万里子
南万里子

体調不良者続出の“あの”デリー便でまたもや…

 CAにとって、大変な路線はどれかご存知でしょうか? 満席のフライトはどの便も大変ですが、特にCAが疲労困憊するのはインド路線。

 インド人のお客様にはベジタリアンが多く、そのため「スペシャルミール(既存の機内食ではなく、ベジタリアン・アレルギー対応・宗教対応など要望に合わせて事前にリクエストできる食事)」のオーダーが多いのです。間違えないように提供するため時間がかかるのでCAも大忙し。

 さらに、日本人のお客様からはインド料理や風土が合わず、インドからの帰国便で体調不良者が続出。そういう意味でも大変なフライトなのです。

 お客様が搭乗する前にCAはキャビンの準備をする時間がありますが、当日に発覚したのはエコノミークラスのスペシャルミールが110個! ということ。お客様の搭乗時、リクエストされた方々にスペシャルミールのオーダーが間違っていないか確認するのですが、これもひと苦労です。

 搭乗時に荷物の整理をするお客様を押し退けながら(失礼しました)、怒涛の搭乗時間も終わり、デリー発成田行きの飛行機は順調にフライトを開始しました。

 そして、インド路線はお客様がエネルギッシュなのももちろんですが、お酒のオーダーが多いのも特徴です。インドでは外国製のお酒が高価なため、これでもかと(?)お酒を召し上がるお客様がいらっしゃいます(笑)

 飲み物のオーダーに追われつつ、間違いがないようにスペシャルミールを配っていました。すると、突然悲鳴が!

 何事かと周囲を見回すと、日本人男性が倒れていました。話しかけると意識はあるようで、少し酔ってしまったとのこと。冷たいお水をお持ちし、倒れた時に頭を打っていないか、痛みはないかなど確認していました。そして、その男性の横では、奥様らしき女性が号泣していました。

 旦那様が突然倒れたのでびっくりされたのだと思いますが、まるでこの世の終わりのような号泣ぶり。旦那様は幸い大事には至らなかったのですが、心配して泣き続ける奥様の姿に、私は「夫婦っていいな」と思わされました。

 お話しているとその女性は中国人の方で、旦那様と小さい赤ちゃんと3人でインドに駐在しており日本に一時帰国するところだったとのこと。

 見ず知らずの国で、周りに母国の方もいない状況で、旦那様に何かあったら…と思うと不安で仕方がなかったのだろうと思います。旦那様も少し休むと元気になり、無事に日本に到着しました。

 このように、機内では日々色んなドラマが起こっています。CAの業務は大変ですが、一期一会のお客様との出会いがずっと胸に残っているフライトも多いです。皆さま、フライトの際には体調不良だけはお気を付けくださいね!

大学卒業後、商社にて総合職として勤務するも、夢を捨てきれず航空会社へ転職。大手日系航空会社で、国内線・国際線共に乗務を経験し、さらにインターナショナルな環境を求めて、外資系航空会社へ転職。今は兼ねてから好きだった中国文化にはまっています!

【CAのここだけの話♪】はAirSol(エアソル)に登録している外資系客室乗務員(CA)が持ち回りで担当します。現役CAだからこそ知る、本当は教えたくない「ここだけ」の話を毎回お届けしますので、お楽しみに。隔週月曜日掲載。アーカイブはこちら


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