キャリア

元LINE社長が読んだ「僕がヤバかった時の名著3冊」 半生と共に振り返る (1/2ページ)

 どんな人生にも、山があれば谷もある。LINEを大企業に成長させた森川氏。人生の岐路でどのような本と出会い、窮地を乗り切ってきたのか--。半生とともに振り返る。

 ▼『HARD THINGS』を読むと気持ちが楽になる

 少し先の未来を見られるようになった

 やりたい仕事があって就職したのに、希望の部署に配属されず、悶々としている若手社員は多いかもしれません。じつは僕も日本テレビに就職した当初は同じ思いでした。音楽の仕事をしたくてテレビ局に入ったのに、コンピュータ関連の部署に配属されたのです。

 そのころは本当に迷走していました。キャリアに悩んで大学院でMBAを取得したり、中小企業診断士の資格を取ったり。イラストレーターに転身しようとギャラリーを始めたり、自作のアクセサリーを販売したこともありました。当時は読む本も、成功者の自伝など人の生き方に関するものが多かった。自分の迷いが読書にも反映されていたのでしょう。その後、ソニー、30代半ばでまだ小さかったハンゲーム(現LINE)に移りました。

 ハンゲームはPCゲームの会社でした。おかげさまで僕が事業責任者になってから急成長。とても充実した毎日でした。しかし、あるときから急に成長が止まります。PCからガラケーにシフトする時期でしたが出遅れ、グリーやDeNAに市場を押さえられてしまったのです。そのころ社長になって再成長を目指しましたが、しばらくは厳しい時期が続きました。新事業も芽が出なかったし、グループ入りしたライブドアも苦戦。3年くらいは何をやっても結果が出ない状態だったのです。

 当時、読んで影響を受けたのは『7つの習慣』(スティーブン・R・コヴィー)。まだ事業責任者だったころ、前社長が社内研修で薦めていて手に取ったのですが、特に重要性と緊急性の話はハッとしました。そのころ僕は緊急性の高い仕事にしか目がいってませんでした。社長になってからも同じで、とにかく目の前の業績のことで頭はいっぱい。日々の緊急事態に対応しつつも、先を見据えた重要性の高い仕事をやる時間をつくらないと、いつまで経っても厳しい時期を抜け出せない。

 そう気がついて、種まきの仕事に時間を割くようになりました。ITの世界はあまり先を見すぎてもよくありません。しかし、目の前のものだけ追っていたらすぐに通用しなくなり、事業的にも精神的にも消耗してしまう。見ていたのは、2~3年先です。また、日々の時間の配分も意識するようになりました。ウイークリーで「仕事」「社会貢献」「家族」「健康」など各カテゴリーに充てる時間を決め、偏らないようにスケジュールを組みます。この習慣はいまでも続けています。

 何をやるかより、誰とやるかが大事

 この時期に出会ってよかったと思える本がもう一冊あります。『ビジョナリー・カンパニー2』(ジェームズ・C・コリンズ)です。当時の悩みの1つは、せっかく採用した人がすぐに辞めてしまうことでした。急成長しているときは表面化しませんでしたが、事業が足踏み状態になると、会社を支えていたメンバーまで辞めたいと言いだす。そうした悩みを抱えていたとき、この本に「何をやるかより、誰とやるかが大事」と書いてあって、妙に納得してしまいました。退職したくなくなる職場づくりは大切ですが、そもそも「誰を自分のバスに乗せるか」という採用が重要だと気づいたのです。

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