社会・その他

五輪組織委「1円入札」伏せて公表、不当廉売疑いも 空手競技マット

 来年の東京五輪・パラリンピックの空手競技場に敷かれる床マット調達の一般競争入札で、業者が1円入札で落札し、大会組織委員会が、落札価格を非公表にしていることが20日、分かった。組織委は非公表について「今後の過度な競争につながるおそれもある」と説明したが、識者は「価格実態に合わず不適切だ」と指摘。独占禁止法が禁じる不当廉売にあたる疑いもあるとして、関係者が近く公正取引委員会に事案を申告する方針。

 入札は「空手競技会場(日本武道館)及び練習会場(東京武道館)における競技マットの買い入れ」で、今年7月15日に4社が参加。埼玉県の業者が落札し、結果は、10月1日に組織委のホームページ(HP)上などで公表された。

 だが落札価格は非公表でHPには「同額の入札があったため、製品審査を行った結果、総合的に他者よりも優位と認められた」と理由が記されている。

 関係者は「五輪規模の大会では、取引額が400万円前後になるのが一般的」と指摘。組織委が公表する調達のための取り決めではダンピングや買いたたきなどが禁じられているが、この入札に予定価格や最低価格の設定はなかった。

 組織委は、産経新聞の取材に、落札額が1円だったことを認め、「入札額は各事業者の判断ではあるものの、今後の過度な競争につながるおそれもあると判断したので(公表を)控えた」との認識を示した。

 組織委のHPや入札サイトを通じて現在公表している物品などの200件超の入札(11月19日まで)のうち、一般競争入札の非公開はこの1件のみだった。

 落札した業者は「東京五輪に向け商品開発してきた。日本製の自社のマットを使用してほしいという思いで入札に参加した。競争入札ということで入札価格を決めた」としている。

 入札制度に詳しい法政大大学院の武藤博己教授(行政学)は「1円は実際の価格に合わず適正な入札とはいえない。組織委は公的な団体なので公表するのは倫理的に当然だし、1円入札を許容していること自体も問題だ」と話している。

 不当廉売 採算を度外視し、市場競争を著しく阻害する安い価格で商品やサービスを提供すること。ダンピングとも呼ばれ、独占禁止法で不公正な取引の一つとして禁じられている。顧客の囲い込みや、その後の契約獲得、実績づくりなど狙いがあるとみられている。

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