政府は27日、パートなどの短時間労働者の厚生年金への適用拡大について、加入が義務付けられている企業規模要件を2段階で引き下げる方向で最終調整に入った。現行の「従業員501人以上」を令和4年10月に「101人以上」、6年10月に「51人以上」に引き下げる案が有力となっている。来年の通常国会に関連法案を提出する。
適用拡大は、年金財政の基盤を強化するとともに、国民年金しか加入していない人が将来的に低年金に陥らないよう年金額を手厚くする狙いがある。
政府は当初、一気に「51人以上」に引き下げることを検討したが、保険料負担が増す中小企業が反発。自民党内から激変緩和措置を求める声が上がっていた。
厚生労働省の試算によると、「51人以上」に引き下げれば新たに65万人が適用となり、現役会社員の平均手取り収入に対する高齢夫婦世帯の年金受給額の割合を示す給付水準「所得代替率」は0・3%改善する。一方、事業主の保険料負担は1590億円増える。
現行では、短時間労働者について、従業員501人以上の企業で週20時間以上働き、月収8万8千円以上などの条件を満たすと厚生年金に加入する。