ビジネスパーソン大航海時代

駐車場の新時代を切り拓く“パーキング王子”~航海(16) (3/3ページ)

小原聖誉
小原聖誉

 社会に影響を与えるサービスを提供したい

  今までを振り返ってみてどう思われますか。

 「社会から見たら、まだまだだと思います。しかし、私はこの仕事が好きで毎日学習と挑戦を続けられています。やがては社会に好ましい影響を与えられる事業になると手応えを感じています」

 具体的にどういうことでしょうか?

 「免許を持ったら必ずスマートパーキングのアプリをダウンロードする世界がくると思います。日常使いのサービスですし、駐車場業界はIT化に遅れていることでストレスがあり、それを解決できると考えているためです」

 なるほど、あくまでも駐車場という領域を軸にして社会と向き合っていくのですね。

 「はい。スマートフォンが当たり前の世界になったことで、産業にある非効率をIT起業家が変えにきています。もちろん駐車場業界にも参入しようとする方は多いです。しかし、私はもともと父が駐車場業界だったことで、子供の頃から駐車場を見てきています。IT業界出身ではないのです。ですから私の考えには駐車場業界の方々から支援をいただけています」

 なるほど、もう少し具体的に教えてください。

 「はい。今駐車場が5000カ所に増えたのですが、最近一気に3000カ所増えました。“Smart Parking HUB” という、精算機メーカーと連携した技術を核としたサービスを提供できたからです。精算機メーカーからしてみると、大手でもIT系の会社と組むよりも、私のような駐車場業界のバックグラウンドを持ち、コツコツとやってきた会社と組むのは自然だと言っていただいています」

  イメージが湧きます。駐車場業界が待ち望んだ“パーキング王子”というわけですね。

 「そうは思いませんが、私は父を尊敬しており、その父が属す駐車場業界に自分なりに役に立ちたいと考えています」

 最後にSankeiBiz読者の方にメッセージをお願いいたします。

 「自分は、3代目であることに誇りを持てるようになりました。当初は父を超えるために父と関連がない事業を手掛けていましたが、より大きい社会インパクトを与えるために、今では同じ業界で自分なりに新しいアプローチで駐車場改革を進めています。私の人生の中で、それが最も多くの人の利便性に寄与できると思ったからです。起業家だろうと誰であろうと、人生の枠組みの中で出来るだけ大きい影響を与えられるように挑戦し続けていくべきだとは思いませんか?チャンスは日常にしかない。私はそう考えています」

 吉川さんありがとうございました。

1977年生まれ。1999年より、スタートアップのキャリアをスタート。その後モバイルコンテンツコンサル会社を経て2013年35歳で起業。のべ400万人以上に利用されるアプリメディアを提供し、16年4月にKDDIグループmedibaにバイアウト。現在はエンジェル投資家として15社に出資し1社上場。
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ビジネスパーソン大航海時代】は小原聖誉さんが多様な働き方が選択できる「大航海時代」に生きるビジネスパーソンを応援する連載コラムです。更新は原則第3水曜日。アーカイブはこちら

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