働き方

安倍首相が7年連続で経済界に賃上げ要請

 安倍晋三首相は26日、経団連が都内で開いた審議員会で来賓としてあいさつし、「企業は大胆な投資と人材への投資が重要で、控えめに申し上げたいが、来春、みなさんに大いに期待している」と述べ、令和2年春季労使交渉(春闘)に向け経済界に賃金引き上げを求めた。事前の賃上げ要請は7年連続。また経団連の中西宏明会長は春闘の経営方針に「賃金上昇のモメンタム(勢い)の継続」を掲げ、賃上げの方向性を政府と共有した。

 デフレ脱却を悲願に掲げる安倍政権は、来年の東京五輪・パラリンピック以降の消費の腰折れは防ぎたい考えだ。安倍首相はあくまで「参考」と前置きしながら、「(昭和39年の)東京五輪当時の賃上げ率は12%だった」と例示し、大幅な賃上げに期待感を示した。

 ただ、経団連が平成31年春闘から政府が賃上げに介入する「官製春闘」を敬遠し、本来の労使交渉に戻した経緯に配慮して、具体的な数値目標には言及しなかった。

 ただ、経団連も世界的にも劣後した賃金水準を引き上げたい考えは同じだ。経団連の中西宏明会長は、審議会後、記者団に「賃金引き上げの勢いは守るが、企業戦略に応じて一律の議論は意味がない」と話し、今後連合がこだわる賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)議論を牽制(けんせい)した。

 経団連は実際に平成31年春闘の集計でも、定期昇給やベースアップ(ベア)を含む大手企業の賃上げ率は2・43%と6年連続で2%超の高水準が続いている。

 今後の賃上げの手法は議論を呼びそうだ。連合の春闘方針は引き続きベアで5年連続の「2%程度」、定期昇給などと合わせて4%程度とする方針で、格差是正に向け一律のベアにこだわる姿勢に変わりはない。

 これに対して、デジタル化による産業構造改革に危機感を抱く経団連は、賃上げ方法について、ボーナスなど多様な選択肢があるとの立場だ。金融や情報など産業の垣根が崩れ、業態が変化する中で、若手や技術者のやる気や挑戦を支援する賃金も含めた処遇改善や働き改革の重要性を強調する。

 ただ、新卒一括採用や終身雇用など日本型雇用の改革に踏み込むと、企業内雇用の優勝劣敗の痛みも避けられない。日本総合研究所の山田久副理事長は「社員の新たなキャリア形成に対する支援策や配置転換に伴う再教育制度について官や経営側、労働組合も含めどう分担するかの議論を並行させる必要がある」と指摘している。

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