29年7月、計画は実行に移され、手付金として21億円が法人に支払われた。資金を用立てたのはプ社。ピア社を介し、最終的に土地はプ社が買い取る予定だった。当時、法人は保護者とのトラブルなどを抱え、悪評が絶えなかったことから、プ社はピア社を介在させることで自社の“色”を薄めようとしたようだ。
その後、大橋容疑者らは手付金21億円を山下容疑者が社長を務める別の不動産会社「ティー・ワイエフ」(大阪市)に還流させ、横領した疑いがある。山岸容疑者の個人口座には約18億円が戻ったとされる。特捜部は、一連の計画は借り入れた18億円の返済を目的に進められたとみている。
ワンマン経営の末に
信用調査会社などによると、プ社は平成9年の設立後、19年に東証2部上場、25年には同1部へ上場した。分譲マンション供給戸数は30年まで9年連続関西圏トップ。2019年3月期の連結売上高は1605億円で、5年前の約3倍に増えていた。
「社長である山岸に権限が集中していた。強いリーダーシップで邁進していた」。事件後に社長に昇格した土井豊・前副社長は記者会見で、業界で「やり手」と称された山岸容疑者の印象を語った。
土井氏によると、社内で法人との土地取引の詳細を知っていたのは、山岸容疑者と主担当だった社員の小林佳樹容疑者(54)の2人だけ。同社では「主担当が社長に直接詳細を説明するのが基本」(土井氏)だったといい、他の幹部は決裁の段階まで計画の経緯を把握していなかった。
今後について「山岸(容疑者)と同じスタイルではなく、みんなとベストな方法を考えながらやっていきたい」と語った土井氏。特捜部の捜査と、弁護士3人でつくる外部委員会に検証を委ねる考えを強調した。