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北京五輪では悔し涙も 科学力集結、威信かけ開発される「水着」 終わりなき挑戦の舞台 (2/2ページ)

 今も日本代表の水着開発を担うミズノの吉井は「LRによって、より速く泳ぐ理想の泳ぎ方の方向性が示された」と語る。「水中姿勢が水の抵抗をなくす」という、新たな発想を生み出す契機になったからだ。

 所属選手の寺川綾(35)とともに試行錯誤を続け、水中での姿勢を水平に維持できる水着を開発。寺川は12年ロンドン大会の100メートル背泳ぎで日本新記録を出し銅メダルを獲得し、有用性を証明した。寺川は「水着は一番大事な勝負服であり、体の一部のようなもの。開発チームが一緒に戦ってくれているようで心強かった」と振り返る。

 7カ月後に開幕が迫った20年東京大会に向け、ミズノは1月下旬、新型水着を発売する。理想的な水中姿勢を保つための工夫が生かされ、日本代表選手の多くが着用する予定という。

 「糸1本の違いでも違和感を覚える選手もいるほどトップアスリートの感覚は繊細。今後もそうした声と向き合いながら、大舞台での戦いをサポートしたい」

 吉井にとって今回の五輪もまた、終わりなき挑戦の舞台だ。(敬称略)

 厚底シューズで初の2時間切り

 選手が身に着けるウエアやシューズ、用具だけでなく、トレーニング用機器や設備の技術革新も進み、市場規模は拡大を続ける。

 ナイキが開発した陸上競技用厚底シューズは、航空宇宙産業に使う特殊素材を採用。この試作品を履いた男子マラソン世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ(ケニア)が昨年10月、非公認ながら1時間59分40秒で走り、人類初のフルマラソン2時間切りを達成した。今月2、3日に行われた第96回東京箱根間往復大学駅伝でも多くの選手が使用、好記録を連発した。

 日本政策投資銀行によるとスポーツ産業の経済規模は年々拡大し、国は2025(令和7)年に現在の3倍近い15兆円へと成長させる目標を掲げる。メーカーにとっても五輪は、選手を通じてイメージアップを図れる場。開発競争は熾(し)烈(れつ)を極めている。((3)は明日1月15日に掲載します)

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