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五輪を通じて変われば…女性アスリートが直面しやすい3つの課題」 (2/2ページ)

 元マラソン選手で順天堂大教授の鯉川なつえ(47)によると、女性アスリートが直面しやすい「3つの課題」がある。

 まず、スポーツに参加したり続けたりすることが難しい「心理・社会的」な問題だ。幼少期には周囲から「危ない」「けがをする」と言われるなど、男子に比べてスポーツをすること自体へのハードルが高い。また、妊娠、出産後は競技を続けづらくなる。

 次に「身体・生理的」な問題。就学期には初経が来るなどして心身の状態が不安定になる。解決するには周囲の理解と支援が欠かせないが、競技団体の役員や監督などに女性は少ないなど「組織・環境的」な問題が根深く残る。

 「こうした状況が女性とスポーツを取り巻く環境面での遅れにつながっている」と指摘する。

 世界経済フォーラム(WEF)が昨年12月、世界153カ国を対象にした「男女格差報告」を発表した。日本は政治や教育など4分野を総合した男女平等の順位で121位だった。女性首相が一度も誕生しておらず、議員や大臣に占める女性の比率が低いこと、女性経営者や管理職が少ないことが主な理由だった。

 鯉川は期待する。

 「五輪によって女性とスポーツをめぐる社会の仕組みが可視化され、変化のきっかけになってほしい」(敬称略)=おわり

 日本選手団の男女比ほぼ同じ

 男女雇用機会均等法が施行され、女性の社会進出が本格化するのは前回東京五輪から22年後の1986(昭和61)年。15~64歳の女性の就業率は同年の53.1%から、2016(平成28)年は66%まで伸びている。

 歩調を合わせるように、五輪での女性の存在感も増している。シンクロナイズドスイミング(アーティスティックスイミング)や新体操など女子専門の種目もでき、日本でも女子選手の育成に力が入れられるようになった。1996(平成8)年アトランタ五輪では日本選手団の男女比がほぼ同じ(48.4%)に。その後も同程度で推移している。

 この連載は橋本昌宗、鈴木俊輔、吉国在、植木裕香子、江森梓、大渡美咲が担当しました。

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