経団連の中西宏明会長と連合の神津里季生会長の労使トップが28日、東京都内で会談し、令和2年春闘を巡る議論がスタートした。両者は、賃上げのモメンタム(勢い)の維持では一致したが、具体的な賃上げ手法では意見の違いもあり、今後攻防がくりひろげられる見通しだ。
米中貿易摩擦や中国景気の減速感など先行きの不透明さが浮上する中、賃上げ水準や連合がベースアップ(ベア)を含む賃上げ手法をどこまで持続できるかどうかが焦点。連合は中小企業で働く人たちや非正規労働者の賃金引き上げによる大手との格差是正を訴えている。
経団連の中西会長は「賃上げの勢いを維持することは大前提」と述べ、賃上げに前向きな姿勢を示した。一方、連合の神津会長は「日本の賃金水準は世界の中での位置づけも大幅に減少しているのが実情で、社会全体がもっと危機感をもつべき」だと訴えた。
経団連はベアも容認したものの、支払い能力など経営環境は「個社によって大きく違う」とした上で、全社員一律に報いる方法だけでなく、職務や成果を重視した配分手法が適切としている。社員の働きがいを高めるための総合的な処遇改善の重要性を強調するほか、日本型雇用の見直しも問題提起している。春闘は、今後、産業別や個別企業の交渉が本格化し、3月に大手の回答が集中するヤマ場を迎え、3月11日が集中回答日になる。