今日から使えるロジカルシンキング

その商談の感触は? バイアスを取り払い「正確に聞く」を実践してみよう (2/2ページ)

苅野進
苅野進

 問題2

 次の問題は相手のコメントを聞き、「ということは…」と理解したつもりが「早とちり」や「自分に都合良い」解釈になっている例です。「実際には…」そうではないという場合を考えてみましょう。

  • 「この人気のイヤホンはどんな機能がすごいんですか?」
  • 店員〈またこのイヤホンのことか。ということは…入荷を待たされると知ったら帰ってしまうんだな!〉
  • 店員「結構すぐに入荷しますよ! 今日入金してもらえればそんなに待たないです!」
  • 「そうですか。ではまた来ます」
  • 〈しかも、ずいぶん雑な納期なのに入金だけは急かすのか…〉

 問題2の解答と解説

【解答】

実際には…客は人気のイヤホン以外も前向きに検討していて、比較する情報が欲しい

 これは筆者が実際にとある家電量販店で目撃した事例です。この客は、この店員さんから離れたあとに別の店員さんから入荷待ちのイヤホンの機能と別の高性能イヤホンの機能について比較する説明を受けて、別のイヤホンを購入していました。「人気のイヤホン=入荷待ち」という状況に慣れすぎて、「人気のイヤホン」という単語を聞いただけで、残りの発言に注意が向いていないですし、「入荷待ちだといえば逃げてしまう」という思い込みで、客の要望を曲解してしまっています。

 こうした曲解例はほかにも考えられます。

このあいだコピー機が止まってしまって… →ウチのは丈夫です!

実際は「丈夫かどうかではなく、修理体制に関心がある」

 …とか、

今の家はなんだか使いにくくて… →リフォームしましょう!

実際は「賃貸なので、引越しか購入を検討している」

 …などです。

 自分に都合のよい「単語」が出てきた瞬間に独りよがりな解釈をして話をしてしまうという事例は少なくありません。「売りたい」「売らなくてはならない」という心理的なプレッシャーがかかっている場面だからこそ、このようなミスが発生するのです。自分の傾向を理解して、それを避けるためにメモ・表で整理・確認することで大事な機会を 逃さないようにしましょう。

苅野進(かりの・しん)
苅野進(かりの・しん) 子供向けロジカルシンキング指導の専門家
学習塾ロジム代表
経営コンサルタントを経て、小学生から高校生向けに論理的思考力を養成する学習塾ロジムを2004年に設立。探求型のオリジナルワークショップによって「上手に試行錯誤をする」「適切なコミュニケーションで周りを巻き込む」ことで問題を解決できる人材を育成し、指導者養成にも取り組んでいる。著書に「10歳でもわかる問題解決の授業」「考える力とは問題をシンプルにすることである」など。東京大学文学部卒。

【今日から使えるロジカルシンキング】は子供向けにロジカルシンキングのスキルを身につける講座やワークショップを開講する学習塾「ロジム」の塾長・苅野進さんがビジネスパーソンのみなさんにロジカルシンキングの基本を伝える連載です。アーカイブはこちら

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