キャリア

世界を席巻するジャパニーズホラーの旗手 「犬鳴村」清水崇監督が見せる自信 (3/3ページ)

波溝康三

 映画「犬鳴村」を同映画祭に招いた、元ベネチア国際映画祭のディレクター、マルコ・ミュラー氏は、「清水監督はベネチア時代から注目している」と言い、「幽霊やカルトなどを描くこれまでの『怖い映画』を、彼独特の視点から現代的な恐怖の映画へ、革命的に変えた新しい世代の監督だ」などと、「犬鳴村」を選んだ理由について語っている。

 また、平遥国際映画祭主宰者で、中国を代表する気鋭、ジャ・ジャンクー監督も、「清水監督が撮るホラーは、ただの恐怖映画ではない。恐さの奥に、社会的メッセージを込めることができる映画監督だ」と絶賛した。

 同映画祭最大の劇場で「犬鳴村」は上映された。上映後、満員の1500人の観客から大きな歓声と拍手を送られた清水監督は、「当初は、ホラー映画が公開されることのない中国での上映に不安もありましたが、日本とはまた違う中国の映画ファンの盛大な反響はうれしかった」と語る。

 米国を席巻したジャパニーズホラーの旗手は、更なる世界展開に手ごたえをつかんだようだった。

波溝康三(なみみぞ・こうぞう) ライター
 大阪府堺市出身。大学卒業後、日本IBMを経て新聞記者に。専門分野は映画、放送、文芸、漫画、アニメなどメディア全般。2018年からフリーランスの記者として複数メディアに記事を寄稿している。

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