ビジネスパーソン大航海時代

アマゾンのサムライは日本のユニコーンを育む~航海(18) (1/3ページ)

小原聖誉
小原聖誉

 米IT大手のアマゾンについてはSankeiBiz読者であればご存知のことでしょう。今回は、その日本法人のひとつであるアマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWS)社の畑浩史さん(スタートアップ事業開発部本部長)についてお話させてください。

 畑さんは大学卒業後にIBMにSEとして入社、9年を経てスタートアップの創業メンバーとなったのちにミスミへ転職し新規事業立ち上げ、推進を行ったそうです。いまはAWSでスタートアップの支援をされています。

 誰もが知っている大企業からスタートアップに転職し、そしてまた大企業へと転身するという怒涛のキャリアを歩まれたわけですが、経緯を伺ううちに、ひとつの大きな物語が織りなされ構成されていると感じ入りました。

 みなさまの勇気になりますと幸いです。

 それではインタビューをご覧ください。

 「やりたいことが見つからない」から成長業界へ

 畑さんはどのような生い立ちなのか。まずそれから紐解いてまいります。

 どのような子供時代を過ごされていたのですか?

 「父はサラリーマンとしてメーカー営業を務め、母は主婦という両親でした。子供の好きにやらせるという教育方針でしたね。それもあったのか、小中高生から新しいもの、人と違うことに興味を持っていたと思います」

 高校・大学時代はどのようにすごされていたのですか?

 「高校生になった時に、“ならでは”の新しいことに挑戦したいと思ったんですよね。そこで、アメフト部に入部しました。中学生の頃にはない新しい部活ですからね。大学に入った後は母校の高校でアメフトのコーチをしていました」

 同じアメフトという部活でもプレイヤーからコーチに転身されたのですね。

 「はい。自分の代では試合終了30秒前にまさかの逆転負けし、涙を流すほどの悔しい思いをしたので、コーチとして雪辱を果たしたいと思ったのです。ことアメフトはコーチとして試合にともに参加します。事前に戦略を立て準備し、試合中はその場その場で意思決定し、チームをマネジメントできることも魅力でした。アメフトというテーマが同じでも関わり方が違うことでより深く学ぶことができます」

 ご自身の進取の気性と、経験が活きる場所という着実性があいまっていそうですね。

 「当時はそこまで考えていなかったのですが、学び続ける・学びを活かすというのは私のキーワードかも知れません。アメフトのコーチで学んだマネジメントの経験は間違いなく社会人でも役に立っています」

 なるほど、充実された部活動を過ごされたのですね!就活はいかがでしたか?

 「それが、やりたいことを考えに考えたのですが見つからなかったのです(笑)。ここまで考えてないならば“ダーツの真ん中はないかも”と思い、当時盛り上がりつつあったIT業界で新たな職業として出てきたSEになることをまず決めました。それに加え、成長する会社に就職しようと思い、スタートアップ、当時はベンチャーといわれていた企業向けに就活をしました」

 なるほど、ここでも進取の気性がでていたわけですね。

 「そうかも知れませんね。職種や企業ステージを絞って就活をしていたら面白いことに気づきました。面接に行く先々で“IBMと仕事をしています”“IBMの技術を取り入れてます”など、“IBM”を売りにしていた会社が多かったのです」

 なるほど!必ず言葉が出てくるわけですね。となると…

 「はい。そこで“それならばIBMに行った方がよいのでは?”とIBMに絞りこんで就活を変更しました(笑)。そして運良くIBMに入社するわけです。当時Windows95が発売された直後で“これからこの市場が盛り上がるぞ”とワクワクしましたね」

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