仕事で使えるAIリテラシー

「機械が仕事を奪う」は誤解 AIブームを正しく理解しよう (2/2ページ)

高田朋貴
高田朋貴

 人が次々と辞める現場を改善する

 ただ、こうした話をすると、「機械に仕事が奪われるということではないか」と心配する声が必ずあがります。しかし、それは誤解です。

 たとえば、工場の製造ラインでの検品作業は、これまで人間の手によって行われていました。目視によって製品をチェックし、不良品が混ざっていないか確認していたわけです。

 しかし、この作業は従事する方々の負担が非常に大きく、人手を確保することが難しいと言われてきました。せっかく働き手を見つけても、すぐに辞めてしまう。ただでさえ労働人口が減少しているのに、今までと同じやり方では工場が立ち行かなくなってしまいます。

 そこで一部の企業で導入されているのが、AIによる異常検知の自動化です。製品のデータを学習したAIが、カメラやセンサーによってパターンに合致しない”不良品”を検出。この画像認識という技術によって、人間が行うよりも正確かつ迅速な検品作業を実現しています。

 人間と同じようにAIにも得意・不得意がある

 現在主流のAIは機械学習という技術によって実現していますが、これは人間の「知能」のようにさまざまなことができるものではなく、予測や分類という「知的行為」に特化して機能します。ただ、その精度が人間よりもはるかに高いため、これほど注目されるようになったわけです。

 ここで言いたいのは、「AIは何でもできるわけではない」ということです。人間に得意・不得意があるように、AIにも得意・不得意があります。「機械が人間の仕事を奪う」わけではなく、機械が得意なことは機械にやってもらい、人間は人間が得意なことに集中する。それがAIを導入する最大の意義なのです。

 工場の検品作業の例でいえば、そもそも人間が不得意な作業をやっていたために、従業員の方々に強い負荷がかかっていたのだと言えます。それがAIに代替できるようになったことで、限られた人材をもっと有効に活用することができるようになりました。

 このようにAIの導入は、企業の人手不足の解消と生産性の向上に寄与すると期待されています。そして、それは日本全体の課題に直結しています。だから、AIの重要性は今後も高まっていくと考えられているのです。

 しかし、現状のAIに何ができるのか。あるいは企業が正しく活用するためにはどういうことを知っていなければならないのか。そういった”AIリテラシー”が今の日本で広く共有されているとは言えません。そこで次回は、AIをビジネスの現場に導入するために、真っ先に抑えておくべきポイントをお伝えさせていただきます。

高田朋貴(たかだ・ともき)
高田朋貴(たかだ・ともき) 株式会社SIGNATE シニアデータサイエンティスト
明治大学大学院理工学研究科博士後期課程修了。専門はコンピュータサイエンス(言語処理、人工知能等)。2015年、株式会社オプトホールディングのAI研究開発部門「データサイエンスラボ」に入社。同部署にて、主にAI開発のためのコンサルティング/受託分析や分析コンペティション設計、データサイエンス講座講師等に従事。18年4月、データサイエンスラボの事業統合を機にSIGNATEに参画。19年4月より現職。博士(理学)。

【仕事で使えるAIリテラシー】は、AI開発、AI人材の育成・採用を手がけるSIGNATEのデータサイエンティスト・高田朋貴さんが、ビジネスパーソンとしてAIを正しく理解し、活用する方法を解説します。アーカイブはこちら

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