元受付嬢CEOの視線

受付嬢時代に感じたあの不安 新型コロナが企業に突きつける課題 (2/2ページ)

橋本真里子
橋本真里子

 今回の事態を受け、国は賃金補償制度を発表しました。制度がないよりは遥かに助かるとは思いますが、それぞれの生活環境や家族構成が異なる中で一律の補助があったとしても期待通りの効果は得られないのではないかとも思います。

 企業側のフォロー「まったくない」

 人間誰しも、不安な状態やストレスフルな状態が続くとパフォーマンスは落ちます。パフォーマンスを維持する上で精神的な健康は重要ですが、それ以上に重要かもしれないのが「企業との信頼関係」です。

 企業が自分(従業員)のことをきちんと考えてくれているのかは企業で働く上でのモチベーションに直結します。こういった非常時に企業がどう立ち振る舞うかで、信頼関係の向上にも低下にもどちらにも繋がります。

 弊社にも派遣社員がいます。彼らに、新型ウイルス感染拡大に際して派遣元の会社から、勤務に関するフォローの連絡があったのか聞いてみたところ、「全くない」とのことでした。「手洗いうがいを入念にしましょう」という呼びかけはあったそうですが、現段階で派遣会社がとるべきコンタクトとしては違和感を覚えます。私がその派遣会社で就業していたら、不信感を抱くと思います。

 派遣会社は派遣スタッフの方の就業で成り立っている会社ですから、派遣スタッフ一人ひとりへの不安を少しでも和らげるような配慮があって当然ではないでしょうか。

 対応は企業や国が 予防は個人が

 突然起きてしまう災害や今回のような新型ウイルスは予測しようがありません。

 その瞬間の痛みを和らげる「対応措置」は必要ですし、それは企業側や国が実施するべきでしょう。対応措置を行うべき企業側に、従業員などへの配慮を実施しやすくなるような政策(例えば法人税をその年だけ見直すなど)を行うほうが多くの労働者やその家族を少ない労力でカバーできるかもしれません。

 一方で、従業員ひとりひとりも、非常時に備えた働き方に備える必要があると思います。

 弊社RECEPTIONIST(レセプショニスト)も、現在はテレワークと時差通勤を推奨しています。しかし、推奨以前と状況がさほど変わることはありません。一部社員は、それらを取り入れていますが、営業などの対面業務に携わる社員は平常時と全く変わりません。

 従業員はみな判断力のある社会人という認識で、「自己管理」を基本としています。マスクを着用している人もいれば、していない人もいます。会社から細かい規定などはあえて設けておりません。こういう時こそ「自分の身は自分で守る環境」を構築したいものです。

 繰り返しになりますが、非常時こそ企業の真価が問われます。非正規雇用者、テレワークで対応する従業員、業務上テレワークできない従業員、それらの人々の生活を維持して初めて、予測不可能な困難を乗り超えていると言えると思います。企業にとって、本当に戦うべき相手はウイルスではないといえるかもしれません。終わりの見えない戦いのもと、ルールが整備されていない中で、自分たちの日常を確保すること。これが私たちが向き合うべき一番の課題かもしれません。

橋本真里子(はしもと・まりこ)
橋本真里子(はしもと・まりこ) 株式会社RECEPTIONIST 代表取締役CEO
1981年生まれ。三重県鈴鹿市出身。武蔵野女子大学(現・武蔵野大学)英語英米文学科卒業。2005年より、トランスコスモスにて受付のキャリアをスタート。その後USEN、ミクシィやGMOインターネットなど、上場企業5社の受付に従事。受付嬢として11年、のべ120万人以上の接客を担当。長年の受付業務経験を生かしながら、受付の効率化を目指し、16年にRECEPTIONIST(旧ディライテッド)を設立。17年に、クラウド型受付システム「RECEPTIONIST」をリリース。

【元受付嬢CEOの視線】は受付嬢から起業家に転身した橋本真里子さんが“受付と企業の裏側”を紹介する連載コラムです。更新は隔週木曜日。アーカイブはこちら

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