社会・その他

1匹400万円? 新型コロナでダブつくコツメカワウソ市場 密輸も横行  (2/2ページ)

 府警によると、こうした状況を狙い、サイテス1への格上げ前に密輸の動きが活発化することはよくあるという。今回逮捕された男は環境省に法改正について問い合わせた上、密輸直前にも1度タイを訪問。捜査関係者は「自営業で生活も苦しいのに、自分で飼うためだけにここまでするだろうか」と首をかしげる。

 登録審査に課題

 密輸がやまないのは裏を返せば、登録審査をすり抜けられると考える業者がいるということだ。国際的な野生生物取引監視団体「トラフィック」の浅川陽子さんは現行の審査について、「規制前に国内にいたことさえ証明できれば登録できる。親子関係のチェックも厳密でなく、密輸個体を登録個体の子として申請する方法が抜け穴になる恐れもある」と警鐘を鳴らす。

 批判も踏まえ、環境省はコツメカワウソの審査には特に慎重を期す構えだ。取得までの経路について申請者に厳密な説明を求め、必要に応じて現地調査も行うことになる。登録機関によると、昨年11月26日以降、今年3月1日までに登録を認めた個体はまだいないという。

 「これだけ厳しくなれば、組織的な密輸は通常なら下火になる」というのが白輪さんの見立てだが、事態を複雑にしているのが新型コロナウイルスという。「中国がコロナ収束まで野生動物輸入を全面禁止したことで国際市場がだぶついており、困ったブローカーが違法に売り込んでくる可能性がある」からだ。

 さらに、コツメカワウソの密輸を防いだとしても、業者は次のブームを探すだけ、という見方もある。「飼えなくなって自然に放すと、駆除の対象にもなりかねない。扱いが難しい動物もおり、ペットにして本当にいいのか、まずは考えてほしい」。浅川さんはそう訴える。動物を守るために必要なのは、1人1人の心掛けにほかならない。

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