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新型コロナ患者を診察した開業医の苦悩 「町医者の役割高まるが…」

 新型コロナウイルスの感染拡大に終息の兆しが見えず、治療の最前線に立つ大型病院で病床不足などの懸念が深まる中、地域診療を担う開業医らもPCR検査実施への協力を求められている。3月に新型コロナの感染者を診察した経験のある大阪府内の50代男性開業医が産経新聞の取材に応じ、今後は検査への協力など開業医らの役割が高まるとの認識を示す一方、「スタッフには強制できない」という苦しい胸の内を語った。(小泉一敏)

 3月上旬、開業医の元に60代男性と50代女性の夫婦が診察に訪れた。男性は1週間高熱が続いていため、新型コロナ感染を疑ってレントゲン撮影をしたところ、肺炎の症状が確認された。すぐに保健所に連絡したが、返事は「インフルエンザの検査をしてほしい」だった。「ええっと思ったが、結果は陰性だった」

 男性の容体は院内に滞在していた約1時間半の間にも目に見えて悪化していった。「顔も真っ青で呼吸困難の状態になって驚いた」。女性はほぼ無症状だったが、その後の検査で夫婦ともに陽性と確認。男性は1カ月、女性は2週間の入院を経て回復したという。

 感染者が増加し、治療の最前線となっている地域の中核病院への負担が高まる中、保健所などから開業医にもPCR検査実施の協力要請が来ているという。

 開業医のもとには現在も、「子供が37・3度の熱が続いているが、保健所が検査をしてくれない」などの相談が毎日寄せられており、検査の重要性は認識している。「現実的に検査を広く行い現状を把握して、今後の戦略や医療計画を立てるべきだ」とした上で、「求められれば、医師として協力したい」と述べた。

 ただ、防護服や、検査後に院内を消毒するためのアルコールなど、必要最低限の物資の備蓄に余裕があるわけではない。また、医療関係者への風評被害といった懸念もあり、「私はいとわないが、家族もある職員に協力を求めるのは正直難しい」と明かす。

 各地の病院では院内感染が広がるケースもある。「いったん院内感染が起きると医師がいなくなるため、私たちのような町医者の役割が高まる。ただ、現状で治療にあたるのは、丸腰で戦場にいるようなものだ」と強調した。

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