日本企業はまた出遅れるのか
これは、旅客機の内装や座席を手掛けるイタリアのAviointeriors(アビオインテリアズ)が、エコノミークラスで感染を防ぐ形として提案したものです。「なんだかな~」と流してしまうか、「さらに良いアイデアはないか?」と動くか、どちらでしょうか?
生きる上で、もっと小さな世界で考えてもビジネスをする上での「最低限のルール」が変わったのです。世界が同時に「不便」であり「不愉快」な状態になります。新しいルールに則って解決すべき問題が山ほど現れたのです。
ここには大きなビジネスの余白が現れたといってもよいでしょう。これまで何度かあった大きな変化の際に、新しい分野をうまく獲得した日本企業はほとんどありません。
- 感染を防ぎつつも、これまでのように3密空間を楽しめるアイデアは?
すでに世界では大小様々なアイデアが芽を出してきています。私たちは、インターネットが生まれた時のように、どこかの国が作った商品の後追いになるのでしょうか。車のような工業製品の時は、後からであっても洗練させればナンバーワンになれたかもしれません。しかし、今回のコロナ禍もインターネットの時のように出遅れたらあとはプラットフォーマーに利用料金を支払うだけということにならないでしょうか?
前例のないピンチではPDCAしかない
「完璧な商品を出す」という意気込みは捨てなくてはいけません。
コロナ以前と同じ快適さを実現する新商品を出さなくてはいけないと考えてはいけません。
たとえば学習塾業界では「オンライン授業」と聞くと、「対面授業の良さ」を挙げて拒否し続けた先生たちがいました。また、現状でも「やっぱり対面にはオンラインにはない利点がある」と言う方も多いですが、「オンラインには対面では解消的ない問題を解決する力がある」のも現実です。以前の良さが失われていたとしても、まずはローンチさせる瞬発力こそが、経験を積んで先行者としての力となっていくのです。先行して取り組んで、試行錯誤(PDCA)し始めた企業だけが、対面授業を凌ぐオンライン授業を実現するのです。
Amazon(アマゾン)が出てきた時に、「本は本屋で手に取って選ぶものだ」という拒否反応が出版社・書店側に大きかったのを覚えています。品揃えも今ほどではなかったAmazonですが、先行者として多くの経験を積み重ねていくことで替えの効かない存在感を持っています。
すでにコンテスト形式で「アフターコロナ」のビジネスアイデアを集めている海外の企業も現れています。個人や中小企業のアイデアなど「外部」を使うことが苦手な日本の大企業病も顔を出しています。数年後に「2020年の大ピンチは実は大チャンスだった」ということにならないように、トライアンドエラーに素早く挑戦する時です。
試しにやってみる。だめなら次を考える。前例のない状況では、これしかないのです。
【今日から使えるロジカルシンキング】は子供向けにロジカルシンキングのスキルを身につける講座やワークショップを開講する学習塾「ロジム」の塾長・苅野進さんがビジネスパーソンのみなさんにロジカルシンキングの基本を伝える連載です。アーカイブはこちら