社会・その他

「ネット私刑」コロナ禍で過熱懸念 執拗に本人特定、デマも拡散  (2/2ページ)

 無関係の企業が女性の職場だと名指しされた一件についても「(ネットの書き込みという)妨害により業務に支障が出るなどの実害が出れば、偽計業務妨害や業務妨害罪に該当する可能性がある」と指摘する。

 拡散するデマ

 ネット上で一方的に個人を糾弾する「ネット私刑」をめぐっては、お笑いタレントの男性に対し「殺人事件に関与した」などとする事実無根の書き込みや殺害予告をしたとして平成20~21年、男女6人が脅迫や名誉毀損などの容疑で書類送検されたことで注目が集まった。

 事件や事故が起きるたびにネット上では、当事者がどんな人物なのか特定しようとする動きがみられる。問題なのは、プライバシーを侵害する個人情報をネット上に無許可でさらす行為にとどまらず、そうした過程で往々にして虚偽の情報が拡散することだ。

 最近では昨年8月、茨城県の常磐自動車道で起きたあおり運転殴打事件をめぐり、無関係の女性を「容疑者の同乗者だ」とするデマがネット上で拡散された。この女性のSNSのアカウントには批判が殺到し、職場にも嫌がらせの電話がかかってきた。

 “攻撃”は匿名にとどまらず、愛知県の元男性市議がインスタグラムに掲載されていた女性の写真を自身のフェイスブックに添付し「早く逮捕されるよう拡散お願いします」と投稿。女性はデマで名誉を傷つけられたとして慰謝料を求めて元市議を提訴。市議は辞職に追い込まれた。

 情報解析会社スペクティの村上建治郎社長によると、デマ情報は大きく分けて、(1)騒いで世間からの注目を浴びたい「オオカミ少年型」(2)外国人や特定の人をおとしめる「ヘイト型」(3)聞いたり見たりした情報を勘違いして広まる「勘違い型」(4)情報の広まりとともに尾ひれがついて話が変わる「伝言ゲーム型」-の4つに分類される。

 今回の山梨の女性のケースでは、未知の感染症である新型コロナの不安が広がる中、周囲を危険にさらすような行動を取った人物への憤りが過剰な批判につながり、無関係な店が勤務先だとするデマの拡散につながった。(1)~(4)の要素をほぼ満たしている。

 サイバー捜査の高度化により最近はネット上の「匿名の加害者」が特定され、摘発されるケースは珍しくなくない。村上社長は「注目が集まるニュースなどがあった際に個人情報を特定するという動きは増えているが、ネットユーザーも自分が受け取った情報が本当に正しいのか、自制心を持って確認するようにすべきだ」と呼びかけた。

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