書評

『小倉一郎の〔ゆるりとたのしむ〕俳句入門』小倉一郎・著

 ■読めば基本が自然と身に付く

 読み進むうちに、句が自然に、次々と湧いてくる。書店に俳句入門書は多く並ぶが、読めば読むほど、金縛りに遭ったごとくに句が作れなくなる本も少なくない。

 それとは全く逆で、かつ知識も増える。例句は約90で半分以上が著者の作。俳優として生きてきた自身の身辺を見詰めた句が並ぶ。山田太一、木下恵介、小林桂樹、市原悦子、浅茅陽子、川谷拓三といった人々が顔を出すのも程よい彩りとなっている。

 読者に教えるという姿勢を取ることなく、俳句の基本は巧みに解説している。「あっ、できた」となること請け合いだ。(日本実業出版社、1400円+税)

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