スポーツは特にやらない。ジムに通うのも彼女の趣味と違う。
普段使いの自転車は欠かせない。テラスにいるのと同じように風が好きなのかもしれない。だから空間が閉鎖された映画館からは足が遠のく。
アートの展覧会はこまめにチェックするし、人の知らないレストランやヴィッラに出かけ、未知の味や建築に触れる機会は惜しまない。アンティークの青空市場も彼女の好きな場だ。当然ながら仕事にも役立つが、まず自分の好奇心に誘われる。
この連載の取材の特徴は、その人の「好き」を追っていくからなかなかインタビューが終わらないことだ。自分の好きなものを見せてくれ、その背景を話してくれる。それはぼくにとっても楽しい。ワクワクする。
アンナ・マリアは、これまでの取材のなかでも群を抜いて、ぼくを対象の世界に引き込んでくれた。彼女が面白いという美術館やギャラリーを、ぼくも訪ね歩きたいと自然と思えたのだ。パリにも久しぶりに行きたい。
【ミラノの創作系男子たち】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが、ミラノを拠点に活躍する世界各国のクリエイターの働き方や人生観を紹介する連載コラムです。更新は原則第2水曜日。アーカイブはこちらから。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ローカリゼーションマップ】も連載中です。