社会・その他

関空で“台風直撃”想定した訓練 新型コロナや水害に備える

 新型コロナウイルスの感染拡大に台風の直撃が加わった事態に備える防災訓練が9日、関西国際空港で行われた。台風で対岸との連絡橋が寸断され、約500人がターミナルに取り残されたと想定し、空港を運営する関西エアポートのほか、航空会社や関西空港検疫所など7機関から計約70人が参加。発熱のある利用客らをほかの客と隔離するため、別の場所に誘導する手順などを確認した。

 関空は平成30年9月、台風21号で滑走路などが浸水して停電が発生。連絡橋にタンカーが衝突して通行不能になり、利用客や従業員ら最大約8千人がターミナルに閉じ込められた。

 関西エアは昨年4月に事業継続計画を見直し、障害者や高齢者、乳幼児らを優先して避難誘導するなどの訓練を重ねてきた。新型コロナの流行という新しい事態も踏まえ、ターミナルで夜を明かす利用客らの「3密」を避け、感染拡大を防ぐ対応に迫られている。

 訓練は参加者がスタッフ役と利用客役に分かれて実施。今回は利用客役約40人の中に37・5度以上の発熱がある数人の「発熱者」と、濃厚接触者とみなされる「家族」「友人」の役を新たに追加して行われた。

 避難受付の前にサーモグラフィーを設置し、利用客の体温を確認。無症状の場合はロビーで待機してもらう一方、発熱者は「会議室」に見立てた別の階に誘導し、相互に距離をとって配置された簡易ベッドに寝かせた。家族や友人についても同様に誘導した。

 関西エアの石川浩司執行役員は「発症者をいったん誘導した後、対岸のりんくう総合医療センターなどの医療機関に移送する事態も想定される。訓練で明らかになった課題を踏まえ、医療関係者とも連携して対応を検討したい」と話した。

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