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マリオも内蔵の海賊版レトロゲーム、通販サイトは野放し状態

 往年の人気ソフトが入ったスマートフォンケース型の海賊版ゲーム機を販売していたとして、大阪府警が著作権法違反容疑で宮城県栗原市の会社員の男(46)を書類送検する方針を固めた。ゲームソフトは日本の貴重な知的財産の一つだが、海賊版の販売などメーカーの利益を侵害するケースは後を絶たない。特に「レトロゲーム」は最新ソフトに比べデータ容量が少ないためコピーが容易で、中国などで大量に海賊版が生産されているとみられる。ただ、直接取り締まることは難しく、専門家は販売サイトなどが規制を強化すべきだと訴えている。

 スーパーマリオブラザーズ、ドンキーコング、アルカノイド、ボンバーマン…。今回、大阪府警が捜査している海賊版ゲーム機に内蔵されたソフトは、任天堂の家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」(ファミコン)などで人気を誇った名作が並ぶ。通販サイトでは似たようなレトロゲーム機が多数出品されているが、メーカーの許可なくデータをコピーした疑いがあるものがほとんどだ。

 メーカー側は以前、こうした違法行為に強く対応してきたわけではなかったという。日本デジタルゲーム学会会長で、立命館大映像学部の中村彰憲教授は「メーカーが収益の上で重視するのは最新ゲーム。古いゲームを守ることは、訴訟などの時間やコストを考えても優先事項ではなかった」と話す。

 しかし、任天堂が平成28年からファミコンと後継機「スーパーファミコン」の復刻版の販売を始めたところ、全世界で1千万台以上を売り上げるなど、レトロゲームの人気が再燃したことでメーカー側の戦略も変化。ネットで古い作品を有料で配信するサービスを始める一方、作品データを無料配布する海外サイトに対して訴訟に踏み切るなどしてきた。

 メーカー側から相談を受けた捜査当局も海賊版の摘発に力を入れている。ただ、中国などにある製造拠点には捜査権が及ばず、根絶させるのは困難だ。

 中村教授は「取引の場となる通販などのサイトの責任は重い」と指摘する。捜査関係者によると、府警が書類送検する方針の男は会社員として働きながらネットを通じ簡単に海賊版のゲーム機を入手していたとみられ、「小遣い稼ぎのため副業として転売していた」と供述しているという。

 警察庁によると、昨年全国で検挙された著作権侵害事件は141件で、うち87%がネットを利用した事件だった。明らかに海賊版と分かるような商品が並ぶサイトもある。「野放しにするのは著作権を軽視しており許されない。管理するのはサイト側の責任だ」と中村教授。「日本が生み出してきたゲームは世界中で思い出が共有される宝。正しい形で提供されてこそ、消費者もノスタルジーに浸れる」と話している。(西山瑞穂)

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