社会・その他

京アニ事件がガソリン販売厳格化の契機に 身元と使い道確認も実効性課題

 36人が死亡、33人が負傷したアニメ制作会社「京都アニメーション」の放火殺人事件から18日で1年。事件では容疑者がガソリンスタンド(GS)で携行缶を用いてガソリンを購入し、犯行に及んでいたことから、総務省消防庁はこの1年、ガソリン販売の規制を強化してきた。同庁は「不審者発見時の通報や容疑者の身元特定につながり、同様の放火火災の抑止につながる」としているが、実効性には課題も指摘されている。

 「身分証の提示や使用目的を確認していますか」

 17日、京都市消防局の担当者が市内のGSを訪れ、ガソリン販売時は使用目的の確認を徹底することなどを改めて指導した。市消防局指導課危険物係の奥田里衣子係長は「事件から1年を契機に再度守ってもらわなければならないことを伝え、二度とあのようなことが起きないよう指導を続けていきたい」と話す。

 事件では、青葉真司容疑者(42)=殺人などの容疑で逮捕、鑑定留置中=が現場近くのGSで、40リットルのガソリンを携行缶で購入した後、スタジオでまいて放火したとみられる。

 消防庁は事件の1週間後、容器に詰め替えてガソリンを販売する際、客に身分証の提示を求め、使用目的を確認した上で、記録を保存するよう事業者側に要請。その後、身分証の提示を拒否されるケースもあったことから、今年2月には改正省令を施行し、こうした確認を義務化、違反には罰則も設けた。業界関係者は「犯罪抑止には効果的だろう」と指摘した。

 ただ、人手不足の店では負担は大きいという指摘もある。石油関連企業の団体「石油連盟」は省令改正の意見公募で「給油所従業員に過剰な労務負担と責任を負わせることとならないようにしてほしい」と要望した。

 また、身元や用途を確認しても虚偽の説明をされれば防ぎようがなく、実効性が強いとは言い難い。消防庁の担当者は「犯罪に悪用される可能性を少しでも下げられたらと思って規制したが、完全に防ぐのは難しい。挙動不審な様子などがないか注意してもらうしかない」と話している。

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