働き方

ワーケーションに期待と課題 「旅行兼仕事」コロナ禍受け拡大 (2/2ページ)

 難しい労務管理

 ただ、普及にあたっては課題も少なくない。特に困難なのが企業側による労務管理だ。JTB総合研究所の高橋伸佳主席研究員は「仕事と休暇の線引きが必要で、どこまで企業が交通費や宿泊費などのコストを負担するかといった点を整理しなければならない」と指摘する。家庭で行うテレワークと違い、労災の危険度なども異なるという。

 さらに、社員の意識にも温度差がある。同研究所の調査によると、男性20~30代でワーケーションが認められれば休暇が取りやすいとの回答が多いのに対し、女性20~30代では仕事とプライベートの旅行は完全に分けたいとの答えが多かった。こうした難しい労務管理や複雑な社内の意見調整を乗り越えてまで実施するメリットがなければ、企業はワーケーション導入に踏み切れないともいえる。

 こうした課題に対し、ワーケーションを企業の成長にもつなげようと、パソナグループの「パソナ JOB HUB」は7月1日から都市部の企業を対象に、ワーケーションを活用した人材育成・事業創造プログラムの提供を始めた。ノウハウを持つコーディネーターが地方側と連携して地域交流による課題解決など具体的な内容を企画し、日本航空やANAホールディングス、全国各地の観光団体とも協力しながらプログラムを運営する。

 加藤遼事業統括部長は「社員のキャリア感が変化するだけでなく、プログラムの成果が地方でのビジネスにつながることもある」と強調する。

 単なる観光の一形態から、企業もメリットを享受できる新たなスタイルへの進化がワーケーション普及のカギといえそうだ。(桑原雄尚 岡田美月)

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