社会・その他

開催信じ着々と準備 1年延期「震災10年」で五輪迎える福島 

 新型コロナウイルスの感染拡大がなければ、24日に開会式が行われるはずだった東京五輪。復興五輪を掲げる大会は1年延期されたことで、東日本大震災の発生から10年という節目の年と重なる。被災地・福島では大会最初の競技となるソフトボールが行われる日程も組まれた。聖火ランナーやアスリートを迎える福島の関係者らは、開催を信じ、祭典を心待ちにしている。(芹沢伸生、飯嶋彩希)

 本来なら東京五輪開幕ののろしを上げるソフトボール競技の日本戦が今月22日に行われ、多くの人でにぎわうはずだった福島市の県営あづま球場。球場を管理するあづま総合運動公園事務所施設管理課主査の高橋政人さん(41)は「来年の日程が発表され、初心に戻った」と話す。

 3月、異例の延期決定に落胆したが「準備の時間をもらった」と切り替えた。グラウンドだけでなく、球場内の細かい改善措置を進めており、緊急事態宣言中には、同僚らと一緒にスタンド席の床洗浄なども徹底して行った。

 「グラウンドに関する情報をできる限り蓄積し、五輪の整備担当スタッフに引き継ぎたい」と高橋さん。初戦は来年7月21日。球場の職人たちは世界中からアスリートを迎えるために、淡々と準備を進めている。

 聖火リレーは今年3月、サッカー施設「Jヴィレッジ」(楢葉町、広野町)からグランドスタートする予定だった。直前になっての延期決定に意気消沈していた聖火ランナーらもそれから4カ月がたち、来年を見据えるようになっている。

 ランナーに選ばれている福島市の私立中2年、進藤あけ乃さん(13)は「福島の人は今、すごく元気に暮らしているということを世界中に伝えられる。助けてくれた感謝の気持ちを伝えたい」と話した。

 同じく聖火ランナーの喜多方市の会社員、佐藤正治(しょうじ)さん(29)は「福島のために頑張りたい、役に立ちたいという強い気持ちが芽生えた。海外の人がいまだに持つ(被災地への)恐怖心を払拭したい」と意欲を見せる。

 福島県天栄村、県立視覚支援学校2年、常松桜さん(20)は、生まれつき肌や髪が白くなる遺伝子疾患「先天性白皮症(アルビノ)」を抱える。「アルビノという障害を伝えたい。さまざまな障害を持つすべての人に、外へ出てみようと思えるきっかけづくりがしたい」とランナー応募のきっかけを打ち明ける。ただ、コロナ禍での開催の是非については「よく考えて、ゆっくり決めてほしい」と慎重な立場だ。

 福島県ではこれまで国内外から寄せられた支援への感謝と、復興の現状を広くアピールするため、東京大会の準備が進められてきた。県オリンピック・パラリンピック推進室の佐藤隆広室長はコロナ対策を念頭に、「新しい生活様式に即した企画で再度、機運を醸成したい」と語った。

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