公平と衡平の違いを知っていますか
リンゴの収穫をお願いするにあたり、リンゴがとりやすくなるよう、それぞれに踏み台を購入することにします。全員に同じ高さの踏み台を与えるのが「公平」です。身長差を考慮して、全員が同じくらいとりやすくなるよう、身長に合わせた踏み台を用意するのが「衡平」です。公平とは全員に同じ配慮をすること、衡平とは人の違いを前提に、必要な配慮をすることと言えるでしょう。
昔は全員が同じでように頑張ることが求められました。しかし大勢に合わせるのがあたりまえの時代は終わり、これからは多様性を受け入れて共存していく時代です。移行期の今、私たちが新しい考え方に慣れていないのは当然です。車椅子の人に対しては配慮ができても、目に見えない違いを持っている人に対して配慮ができないということもあるでしょう。
まずは「気合が足りないからだ」といった偏見をなくすように意識し、少なくとも、他の人と同じ条件で頑張ることを強要しないところからはじめましょう。それができたら、HSPの人に適したコミュニケーションを意識してみませんか。
これはNG HSP傾向がある人への接し方
HSPへの配慮は、自分を含めた他の人が損をするということではありません。逆に彼らがやりやすいように指示することで、仕事をスムーズにまわすことも可能です。押し付けない、特別扱いし過ぎないコミュニケーションを考えてみましょう。
勘所を掴みやすくするために、HSPが陥りがちなケースを想定して、その際にとると【NGな対応】と【OKな対応】をご紹介します。
▼一度に複数のことを頼むと辛そうにする
刺激に敏感なため複雑なタスクに圧倒されてしまう、思慮深さが邪魔をして辛くなってしまうといったことが想定されます。指示した作業に前向きな態度をとらないと「やる気がない」「態度が悪い」と感じてしまうこともあるかも知れません。
【NGな対応1】
「やる気ないの?」と責めてしまう
【NGな対応2】
特別扱いをして仕事を減らす
【OKな対応】
指示するときは、量を分けて伝える。もしくはやってほしいことをメモにして、ひとつずつやってもらうように指示する
▼職場の人たちの感情表出によって辛そうにしている
「感情表出」とは感情の表し方のことで、表情、口調、態度などを指します。HSPは感情に対する反応が強く、共感能力も高いため、ネガティブ感情を表に出しやすい人のそばにいると、私たちの想像以上に辛くなることが想定されます。「打たれ強さが足りない」「わがまま」と感じてしまうこともあるかも知れません。
【NGな対応1】
「この環境にもすぐに慣れるよ、頑張って」と励ます
【NGな対応2】
ネガティブ感情を表出しやすい人について、「あの人にとっては辛いんだよ!?」と理解を求める
【OKな対応】
可能であれば席を変える。ネガティブな感情表出が多い人との接触がなるべく減るように工夫する。混乱やショックから立ち直ろうとしている時は見守る。ショックなどからの回復中には複雑なタスクを与えることや、議論・助言は避ける