ローカリゼーションマップ

缶詰状況が思考の「起動装置」を作動させる 考えた欠片をどう保管するか (3/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 さて今考えているのは、これから半年(といっても、正確には残り5カ月だが)は、前半に議論した内容を公開する、あるいはその議論の一部をオープンにする、といったことだ。

 インプットと熟考をある程度進めてくると、アウトプットしたいとの気持ちが自然に芽生えてくる。その延長線上としては、いつもやっている議論の一部をオープンにするのが無理ないような気はする。これまでの議論をまとめようとすると取捨選択のプロセスで、自由であるからこそ出てきた考えのエッセンスを粗削りであるとの理由で捨て去ってしまう可能性がある。

 いや、意図的に捨てるのであればその記録は残るのだが、無意識のうちに脇にどけ、そのまま知らないうちに視界からなくなってしまう。

 一番大切なのは、考えた欠片をどう保管するかである。知識はどこかのアーカイブなどに何らかの手段を使って到達できれば、一度忘れても回収可能だ。しかし、自分の頭で考えたことは、ある形になるか、強烈なイメージなりとリンクしていない限り、未来永劫戻ってこない。

 どのようにして考えの欠片をキープしておくか。これにはいつも注意を払っておかないといけない。

安西洋之(あんざい・ひろゆき)
安西洋之(あんざい・ひろゆき) モバイルクルーズ株式会社代表取締役
De-Tales ltdデイレクター
ミラノと東京を拠点にビジネスプランナーとして活動。異文化理解とデザインを連携させたローカリゼーションマップ主宰。特に、2017年より「意味のイノベーション」のエヴァンゲリスト的活動を行い、ローカリゼーションと「意味のイノベーション」の結合を図っている。書籍に『「メイド・イン・イタリー」はなぜ強いのか?:世界を魅了する<意味>の戦略的デザイン』『イタリアで福島は』『世界の中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』。共著に『デザインの次に来るもの』『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?世界で売れる商品の異文化対応力』。監修にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』。
Twitter:@anzaih
note:https://note.mu/anzaih
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ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解すると共に、コンテクストの構築にも貢献するアプローチ。

ローカリゼーションマップ】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが提唱するローカリゼーションマップについて考察する連載コラムです。更新は原則金曜日(第2週は更新なし)。アーカイブはこちら。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ミラノの創作系男子たち】も連載中です。

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