働き方

ITベンチャーが在宅勤務の課題にスピード対処 リモート懇親会に手当も (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの感染拡大で注目される在宅勤務の普及が、IT系のベンチャー企業で一気に進んでいる。不可欠なアプリケーションソフトや機器の扱いに慣れた社員が多い上、企業規模も大きくなく、移行が容易なためだ。コミュニケーション不足といった課題も次々と浮き彫りになっているが、自社アプリで解決のアイデアを社員が交換できるようにするなど、ITベンチャーならではのやり方で迅速に対処。オフィスの規模やあり方も検討され始めた。(粂博之)

 雑談で息抜き 

 「一日中、会議、会議で隙間がなくなった感じ」。大阪市のあるシステム開発会社の社員は、こう言って苦笑する。在宅勤務が中心のため、会議はすべてオンラインで、実際に顔を合わせない日が続いている。

 オフィスに出勤していたころは、ちょっと声をかけて確認したり念押ししたりして済ませていたことも、今ではすべてオンライン会議に持ち込まれるようになった。

 ただ、この社員は「オフィスで1日中働いても、意外と雑談や空き時間が多く、集中している時間は限られていたことが分かった」とし、うまく息抜きできていたと振り返る。「在宅だと働き過ぎになりがちで心身のケアが大切だ」。

 3月に原則在宅勤務に踏み切ったChatwork(大阪市北区)も「4月中旬ごろから、社員それぞれが(息抜き、自己管理などの面で)在宅勤務の難しさに直面した」。そこで活用したのが自社のビジネス向けチャットアプリ。「在宅ノウハウチャット」を立ち上げ、社員が互いにアイデアをやりとりしている。

 同社は、自宅を職場にするためオフィスの椅子を自宅に配送したり、引っ越しやリフォームの費用を補助したりすると同時に、メンタルケアも重視。人事担当者と1対1で話せる機会を設けたほか、社員同士のオンラインでのランチ、飲み会などを開き、社内のコミュニケーションを維持している。

 コスト負担は軽く

 同様に、企業の業務管理向けソフト開発を手掛けるBe&Do(同)も、自社製品を役立てている。プロジェクト管理や社内コミュニケーションの状況を把握し分析するアプリだ。社員のアンケートを定期的に実施し、心理的な状態を数値化。これらを人事評価や労務管理に生かし、「在宅勤務でも混乱なく継続できている」(最高執行責任者の橋本豊輝氏)という。

 一方で、コロナ後はさまざまな在宅勤務支援策を実施している。コストはかかるが、取引先からリモートでの商談を求められるようになったため、「出張の交通費、宿泊費が大幅に減った。その分を回すことができる」。

 アジャイルウェア(大阪市中央区)は、1回1000円の「リモート懇親会手当」、1日200円の「おやつ手当」など、遊び心のある在宅勤務の補助制度を設けた。

 補助メニューは多岐にわたるが、「オフィスの光熱費やクリーニング費用などが減っているので、全体としてみればコストは大きく変わらない」(広報の光岡響子氏)という。

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