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コロナ時代に誰とどう付き合うか 「友達」について考えなおそう (1/2ページ)

常見陽平
常見陽平

 「友達とはなんだろうか?」。新型コロナウイルスショックのあり方を考えてみよう。自分たちは、どのような友達とどう付き合っていくのか。

 突然だが、「ヨッ友」という言葉をご存知だろうか。学校などで「ヨッ!」と声をかける程度の関係の友達だ。オンラインで開催されたインカレゼミ(大学対抗のゼミ発表会)で、他大生から教えてもらった。夏学期は完全にオンライン講義だったので、ヨッ友と会えないというのが彼の悩みだった。一方、彼は後輩のことを想っていた。「後輩たちは、ヨッ友ができないまま学生生活が終わるのではないか」と。

 「ズッ友」という言葉もある。ずっと友達という意味である。神聖かまってちゃんの曲のタイトルにもなっている。ただ、コロナショックで、ズッ友と以前のように会えるわけでもない。

 「本当の友達とは?」-。友達や友情をめぐる悩みは古今東西を問わず、青春時代のよくある悩みである。若者と話をしていて「『ONE PIECE』の麦わらの一味が理想の人間関係。でも、そんな仲間は僕にはいない」という声もきいた。10年くらい前にある大学の職員から聞いた話だが「僕に友達がいないのは、大学のせいだ」と言って泣きながら学生係に駆け込んできた学生がいたという。

 その「友達」なるものの関係が実に多様化しているということを確認したい。親友、盟友、戦友、同志、畏友など、従来からある友人関係だけではないのだ。ヨッ友、ズッ友だけでなく、SNS上で知り合った、会ったこともない友だちというのも存在する。「男女間の友情は成立するか?」というのも、青春時代の永遠の悩みだが、セフレ、キスフレなど恋愛関係かどうかは謎であるものの、性愛の関係はあることを示す言葉も存在する。どれくらい一般的かというのは別として、地元の仲間こそ真の友達で、それ以外はそこそこの関係という割り切り方をする若者も何度も見かけた。

 リアルな対面がプレッシャーに

 コロナショックは、人間関係に影響を与える。基本的には、以前よりリアルな場で会いにくくなる。国境を超えた移動の難易度が極めて高い状態になっている。必ずしも規制されているわけではないが、国内移動ですらプレッシャーを感じる人もいることだろう。

 人に会えないことが前提となると、友達の定義は劇的に変わる。よく「リアルな場で会って、時間を共有した友達こそ真の友達」という論がある。私自身は古い人間であり、この論を支持する派だ。ただ、これぞエゴそのものだと批判されるかもしれない。今年の新入生、新社会人の中には、このような人間関係を築けない人もいるからだ。むしろ、SNS上でつながっている友達がメインとなる可能性だってある。ただ、そのSNSにより友達を失うことだってある。コロナショックにどう向き合うかというスタンスが可視化されて、友人があまりに無防備であることや、逆に慎重になりすぎていることについて考えの違いに気づき、離れることだってある。こういう私も、コロナに関するSNS投稿をみて「この人とは距離を置こう」と思った人は、一人や二人ではないし、逆に私から離れていった人もいることだろう。

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