ビジョンとは固体として捉えるべきものではなく、液体のようなものだ。だからほっぽっておくと誰にも気づかれないどころか、本人も自覚しないと忘れてしまう。
こんなことで結婚を決めてはいけないのは、その存在とそのカタチが危ういからではない。それこそ動物的感覚などもっと危ういかもしれない。
ビジョンに気をつけなければいけないのは、それが一見、純粋な知的活動の成果であるかのように見えることがあり、したがってロジカルであり、人間の高次なところに祭りあげられる体裁をとりやすい点だ。
ぶっちゃけた表現をとれば、熱量の高いエラソーな存在になりやすい。やっかいなのは、一度格好をつけると、その後、ドレスダウンが大変なのだ。ビジネス活動から男女関係に至るまで、極力避けて通りたい落とし穴だ。
ゆめゆめビジョンなどで婚約に至らぬようご忠告申し上げる。
【ローカリゼーションマップ】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが提唱するローカリゼーションマップについて考察する連載コラムです。更新は原則金曜日(第2週は更新なし)。アーカイブはこちら。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ミラノの創作系男子たち】も連載中です。