働き方

船員定着へ過大な負担軽減 政府の管理強化前に各社が取り組む

 船員の働き方改革をめぐり、政府は健康対策や労働時間の管理を強化することになった。海上運輸は日本の経済を支える上で大きな役割を果たす一方で、船の仕事には長時間勤務や重労働がつきものだ。早ければ来年の通常国会に船員法など関連法改正案を提出するが、既に労働環境改善の取り組みを始めた企業もある。

 「このままだと船員を殺してしまう」。重油を運ぶタンカーを運航する白石海運(大阪市港区)の白石紗苗取締役(35)が8年前に社内の改革に乗り出したのは、強烈な危機感がきっかけだ。

 出港した船が次の港に着くまで緊張感が続く。積み込みや積み降ろしの荷役作業も過酷で、真夏の体感温度は50度を超えることも。

 船員を増やして1人当たりの乗船回数や日数を削減。会社の事務態勢も強化し、労働時間の記録管理や健康証明書となる船員手帳の更新手続きを一括した。健診後は船員が結果を会社に報告するようルール化し、既往症や服薬状況も把握した。

 いずれも陸では一般的だが、船では徹底されていなかった。「昔の船員は一匹おおかみみたいな働き方だったからそれでもよかったが、今は働き手が定着しない」と白石さん。ベテランが「体が楽になった」と喜ぶ姿に、自身も「うれしい」と話す。

 国土交通省のデータでは、国内の港を行き来する船の高齢化が最も高い。船員約2万8000人(2019年10月現在)のうち、46.4%が50代以上。持病を抱えながら働く人も少なくない。

 豊国海運(東京都港区)は今年からタブレット端末を使ったオンライン診療の試みを始めた。急病やけがの際、端末経由で陸上の医師に診てもらえるだけでなく、血圧やアルコール呼気など日常的な健康チェックの結果も本社と共有できる。

 船員が「薬がなくなるから船を下りたい」との要望も少なくない。今後は処方薬を港に届けたり、ドローンで船に運んだりする仕組みも考えている。相田圭介営業部長(41)は「荷物を確実に運ぶためには、船員が安心して仕事に集中できる環境が必要だ」と意義を強調している。

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