インドの人たちと仕事していて苦労はあるのだろうか。
「言うまでもなく文化ギャップはあるけど、違う考え方に出逢うのって面白いじゃない。だってそれで私も学べるのよ。しかも、相手はアーティストやアルティザンなのだから、私が夢中にならない方がおかしいくらい」と笑う。
モノが良いかどうかの判断は文化圏によって異なる。ラグジュアリーであるかどうかの認知は特にそうだ。よってジュリアはそうした違いを大学でも徹底して学んでいるが、この異文化理解の仕方を自らが講師になってインドの従業員に教えていこうと考えている。
それでは最後の質問だ。今、進めているバッグのプロジェクトの準備をしながら、何を感じ、考えているのだろうか。
「とっても興味深い質問だわ。ちょっと感情が入り混じっていると言えばいいかしら。たいていの時は、市場に早く出したくてうずうずしているの。お客さんからの反応を受け取り、自らのクリエイティビティをフル稼働させたいって。でも、とっても不安になり、これから何が起こるだろうって心配にも時になるの、特に今のようにパンデミックで全てがどうなるか見えないとね。とっても大事なのよ、このプロジェクトは。だって子どもの時から思い描いていたラインなのよ。だからこれがどうなろうと、私は決して諦めないつもり!」
この困難な時期だからこそ、小さな時からの夢を叶えられる幸運を手に入れることを祈るばかりだ。
【ミラノの創作系男子たち】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが、ミラノを拠点に活躍する世界各国のクリエイターの働き方や人生観を紹介する連載コラムです。更新は原則第2水曜日。アーカイブはこちらから。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ローカリゼーションマップ】も連載中です。