書評

旧日本軍の弱点分析『失敗の本質』に再注目 日本の調子が悪くなると売れる? (2/2ページ)

 「答え」は書いてない

 本書の中核となるのは、日本軍は過去の成功体験に過剰適応した組織ゆえに、環境が大きく変化した際、自らの戦略と組織を主体的に変革する自己否定的学習ができなかった、というメッセージだ。それゆえに戸部名誉教授は「執筆時に警戒したのは、(失敗条件の)チェックリストを作ってはいけない、ということでした。リスト化すれば、そればかりが独り歩きしてしまう」として、特定のやり方を避ければよい、と教訓を単純化して墨守するようなハウツー本的読み方には否定的だ。「この本は、以前はこう失敗したというパターンやモデルを提示したのであって、答えが書いてあるわけではない」。危機は常に違った形でやって来るので、万能の処方箋は存在せず、その都度考えるしかない。本書がロングセラーになった理由も、おそらく「答え」を安直に与えない部分にありそうだ。(磨井慎吾)

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