いいことばかりありそうな垂直統合ビジネスですが、これまで洋服と家具では珍しいシステムであっただけで、昔から存在するものです。一番わかりやすいのが自動車ではないでしょうか。トヨタはあらゆる部品を自社グループ内で賄えるようにしていて、販売網も構築してきました。垂直統合モデルが当たり前のように存在した業界もあるのです。
水平分業…アップルが抱えるリスク
一方、日本時間の14日に新機種発表会があったばかりのアップルはデザインしかしない会社として有名です。企画はアップルが担当し、製造は別の企業に任せています。
これは「水平分業」と呼ばれるビジネスモデルです。部品ごとにことなる協業社が存在し、その数は200を超えて、工場も800近くあります。各企業が得意分野に集中できることで性能を高めることができます。またアップルからすれば、より良い条件の協業パートナーへ常にスイッチすることができるのです。これはものづくりの業界では画期的でした。
水平分業のリスクとしては、ノウハウを閉じ込めておけないことです。iPhoneの生産ノウハウは工場を経営する企業にも蓄積するわけですから、他のデザイン会社と提携して新たなiPhoneを作り出すことも理論上可能になるわけです。
水平と垂直「いいとこ取り」 アップルの行方は
実は、アップルはよく工場を持たない「ファブレス経営」といわれていますが、実態は少し違います。このノウハウ流出問題に対応するために、製造設備を自社で開発したり、購入したりしています。そして、それらを工場へと貸し出しているのです。
水平分業の理想的なモデルだと思われているアップルのこの対策は、垂直・水平の利点と欠点が表裏一体であり、そのコントロールがいかに難しいかを物語っていると言えます。
【今日から使えるロジカルシンキング】は子供向けにロジカルシンキングのスキルを身につける講座やワークショップを開講する学習塾「ロジム」の塾長・苅野進さんがビジネスパーソンのみなさんにロジカルシンキングの基本を伝える連載です。アーカイブはこちら