働き方

非正規待遇格差はなにが駄目? 線引き困難な「同一賃金」 (1/2ページ)

 正社員と非正規労働者の待遇差の是非を判断した最高裁判決が、働く現場に戸惑いを広げている。不合理な待遇差の是正を目指す「同一労働同一賃金」を盛り込んだ法律が施行される中、何がどう許されないのか線引きの難しさを浮き彫りにしたからだ。専門家は企業への導入では、段階を追った制度設計を促し、労使でしっかり話し合うことを求めている。

 「賞与不支給」に困惑

 「もうボーナスはもらえなくなるんだろうか」。賞与不支給を容認した13日の最高裁判決に、東京都新宿区のアルバイト男性(34)は困惑する。飲食店に勤めて10年近く。毎年末、売り上げに応じて5万円前後の賞与が支給されてきた。今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で収入が激減しているため、先行き不安がさらに募る。

 13日と15日の最高裁判決は、手当の支給は認めたが、賞与や退職金は職務の違いから不支給を容認した。個別事例への判断とはいえ、衝撃を受けた当事者は少なくない。

 判決は、正社員登用の試験があることも不支給容認の背景に挙げた。「試験を受けないのが悪いと言われてるみたい」と苦笑いするのは、福岡市の契約社員の女性(41)。保育園児を育てるシングルマザーで、過去には正社員転換も提案されたが、勤務時間の長さがネックでかなわなかった。「正社員との差はいつまでたっても縮まらない」と落胆する。

 かながわ労働センターには、法施行後も「正社員は交通費が満額出るが非正規には出ない」などの相談がある。担当者は「待遇差の理由は企業が説明しなければならないことを伝えている。しかし、何をしたら違法かが明確ではなく、どう答えていいか難しいケースがある」と明かす。

 非正規は現在約2000万人。働く人の4割弱を占める。従来は主婦や学生など家計を補助する立場の人が多かったが、今は家計を主に支える立場の人も増加。低収入が固定化すれば生活向上は遠い。同一賃金の導入は、こうした状況の打開も期待されている。

 厚生労働省は報酬や手当ごとにマニュアルを作成して企業の取り組みをサポート。ウェブ上でもチェックツールを公開し、企業が基本給や賞与、手当、教育訓練、相談のための体制整備などについて取り組み状況を入力すれば、待遇差を自ら点検できるようにした。

 しかし、中小企業経営者からは「理由や目的をこんなに細かく記入できない」など不評だ。コロナ禍も重なり、時間や費用の捻出が進まないのが実態だ。

 労使時間かけ検討

 埼玉労働局には中小企業から「同一賃金の制度を作るには何から取りかかったら良いか」などの相談が寄せられている。担当者は「働く人に意見を聞いたり手当制度を作り直したりと時間がかかる。(中小企業に導入される)来春に向けて早めに着手してほしい」と促しているという。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus