主張

内定率の急落 就職氷河期の再来を防げ

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、来春入社予定の大学生の就職内定率が急落した。

 企業が正式な内定を出す今年10月1日時点で69・8%と前年同期に比べて7ポイントも下がった。

 この下落幅は、リーマン・ショック後に次ぐ水準である。コロナ禍で雇用をめぐる環境が急速に悪化する中で、新卒採用を手控える企業が目立つ。

 バブル経済崩壊後、企業の採用意欲が急低下したことで「就職氷河期」が10年あまり続いた。この間、多くの学生が非正規社員などの希望しない仕事に就く事例が相次いだ。

 こうした就職氷河期を再び招かないようにすることが重要だ。政府と経済界は緊密に連携し、人手不足に悩む中小企業を含め、卒業までに学生の就職先を確保する協力体制を構築したい。

 ここ数年の就職戦線は企業の旺盛な採用意欲を背景にして、学生が優位な「売り手市場」で推移してきた。大学生の就職希望も知名度が高い大手企業に集中し、地方の中小企業などは深刻な人手不足に直面してきた。

 しかし、こうした構図はコロナ禍で急変した。大手企業が来春入社予定の採用人数を減らしたことで四年制大学生の内定率が急落し、10月1日時点で5年ぶりに70%を割り込んだ。短大は前年同期に比べて13・5ポイント減、専修学校も同14・9ポイント減といずれも過去最大の落ち込みを記録した。

 厳しい状況を踏まえて政府は先月、経済団体に対して学生に就職機会を与えるように要請した。既卒者でも卒業から3年以内の学生には、新卒と同じ扱いで採用することなどを求めている。

 企業は新卒一括採用に限らず、通年採用も含めて多様な人材確保に努めてほしい。

 就職氷河期が再来すれば、不安定な生活を強いられて未婚や晩婚化に拍車をかけかねない。将来の社会保障にも悪影響を与える。若年層が安定した将来展望を持てるようにするためにも、官民で多くの正規雇用を提供したい。

 そのためにはマッチング(適合)機能の強化が欠かせない。地方の中小企業などの求人を学生に広く知らせることで、幅広く就職につなげることができるだろう。自治体や商工会議所などが地元企業によるオンライン面接を支援する取り組みも進めたい。

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