新型コロナウイルス対策として東京圏の企業で在宅勤務が広がる中、栃木県はテレワーカーの県内移住の呼び込みに注力する。東京圏で在宅勤務を行う人に対してデジタル広告を配信したり、東京圏の企業などが県内でお試しでサテライトオフィスを設置した場合に賃料などの一部を補助したりする。県は、9月補正予算に計約4500万円を計上。全国の地方自治体で過熱している移住者争奪戦を勝ち抜きたい考えだ。
県は平成28年3月、移住・定住促進サイト「ベリーマッチとちぎ」を開設。オンラインの移住相談や、移住支援事業などさまざまな情報を提供している。ここにきて、新型コロナの影響でテレワークの普及が加速していることから、仕事を変えずに移住でき、東京圏との距離が近い本県の魅力をさらにアピールすることにした。
「UIJターン促進・関係人口創出事業」では、東京圏内のテレワーカーに向けて、ベリーマッチとちぎのサイトへの移行を促すバナー広告を出す。本県移住者のライフスタイルや市町の支援制度などの具体的な情報を、ベリーマッチとちぎや動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信する。
また、「とちぎお試しサテライトオフィス設置促進強化事業」では、県内で試行的にサテライトオフィスを設置する東京圏内の企業などに対し、賃料や移転費用、業務上の交通費などを補助する。上限額は法人が月に20万円、個人が月10万円。また、市町がお試しサテライトオフィスを設置する際に設置・運営費などの一部を補助する。
移住・定住促進事業をめぐっては、県は今年度、首都圏に住む女性を対象とした支援イベントをオンラインで実施。9月下旬にユーチューブで配信されたトークショーの閲覧数は3100回を超えた。県地域振興課は「女性にとっては、子供の転校や移住後の就職など、男性に比べてハードルが高い」として、女性のライフスタイルの一つの選択肢として地方暮らしを考えてもらうよう工夫を凝らしている。(鈴木正行)