こうした推移で、この数年、顧みられることが少なくなっていたプロジェクト文化をデザイン文化の文脈で再評価しようとの声がじょじょに強くなっている。言うまでもないが、イタリアにおいて顕著な傾向だ。ぼく自身も、その重要性を実感している。
その時、かつて続々と輩出したデザインの巨匠たちの作品や文章を辿り、彼らの思考や精神の襞にリアル感もって触れたいと思う。今、あらためて本を読み返して、彼らがあまりに全てを見て語っていたことに気づく。古典に接した時に味わう、「あの感じ」だ。
場合によっては、直接お会いして話をお伺いしたいと思うこともある。しかし、残念ながら、お会いできる人がとても少なくなった。高齢で身内の限られた人としか会わないか、この世に既にいない。
マンリオ・アルメリーニ氏が先月亡くなった(「マンリオ・アルメリーニ氏逝去」(Salone del Mobile.Milano))。83歳だった。戦後、国内需要を満たすために急成長したイタリア家具業界が1960年代以降、国際化するにあたりはじまった見本市がミラノサローネである。彼はこの見本市の開催と拡大に尽力し、イタリアデザインを世界的に存在感あるものにした人だ。
プロジェクト文化の意義を世界に問うた人だったと言えるだろう。
何ごとも時代は巡り、一度評価されたことは、ある時間をおいて再評価されることが多い。ただ、再評価を受けはじめたとき、一回目の主人公はもうここにいない(ことが多い)。
【ローカリゼーションマップ】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが提唱するローカリゼーションマップについて考察する連載コラムです。更新は原則金曜日(第2週は更新なし)。アーカイブはこちら。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ミラノの創作系男子たち】も連載中です。