フリーアドレスは企業としての「常識」を問う
これまでの話を踏まえるとフリーアドレスの実施は、相当ハードルが高いように思われるかもしれません。
もちろん、最新テクノロジーによってそれらのハードルを低くする方法もあります。コストをかけて、フリーアドレスに対応した受付システムを導入するということです。来客時には内線電話ではなく、メールやチャットなどで担当者に通知され、電話のそばにいなくても、たとえば会議中や来客対応中でも通知を受け取ることができるシステムがあります。
しかし、そうした最新システムを導入せずに、フリーアドレス化にともなう来客対応を実現することはそう難しいことではありません。
来客の到着を知らせる方法が内線電話であろうが、メールやチャットであろうが、来客があることを忘れてしまっては、お客様とスムーズに会うことは叶いません。まずはアポイントメントを設定した担当者が「自分の来客だから、自分で責任を持って対応する」というのが大前提だからです。
そして、もし担当者が取り込み中ですぐに来客対応できなかったとしても、普段から「助け合う」という文化が根付いている企業であれば、特別なルールや教育は必要ありません。各部署で助け合う仕組みを話し合って決めれば、それでいいのです。
「突然の来客だ、どうする?」
「突然の内線電話はどうしたらいいの?」
こういったシーンでは社内の文化が露呈しやすいです。フリーアドレスを成功させる鍵は、「社員の常識力と企業の文化」なのです。
日頃から挨拶ができている企業であれば、お客様がいらしても、受付嬢だけでなく、社員のみんながお客様に挨拶をすると思います。それだけでも企業イメージはあげられると思いますし、心地のいいおもてなしではないでしょうか。
働き方が変われば、空間も変わる。空間が変わることで、視点を変えることにもつながる。フリーアドレスに足踏みをしている企業は、文化を変える・成長させるいい機会だと捉えて、今までとは少し、視点を変えて検討してみてはいかがでしょうか。
【元受付嬢CEOの視線】は受付嬢から起業家に転身した橋本真里子さんが“受付と企業の裏側”を紹介する連載コラムです。アーカイブはこちら