働き方

ANA、JAL、JTB…超人気企業の採用中止は「就職氷河期」の前触れである (1/3ページ)

 コロナ禍で来年度新卒採用見送り企業が続出する中でも、加藤勝信官房長官は「第2の就職氷河期世代は作らない」と言い続けている。だが、この発言をそのまま受け止めるのは危険だ。すでにリーマン・ショック時に迫るほど就職内定率は低下しているのだ――。

 「人材はわが社の資産であり、人員削減は断腸の思いだ」

 「就職氷河期」が再びやってきそうだ。学生が就職したい人気企業の常連だった航空、旅行は新型コロナウイルスの影響で市場が蒸発し、旅行大手に至っては軒並み2022年度の新卒採用を見送る総崩れのありさまだ。感染拡大に収束のめどがつかないようなら採用抑制の動きは業種を問わず広がり、学生が優位な「売り手市場」は一気に暗転し、第2の氷河期世代を生むレッドゾーンに突入しかねない。

 「人材はわが社の資産であり、人員削減は断腸の思いだ」--。旅行大手JTBの山北英二郎社長は11月20日、国内店舗の25%閉鎖や国内外グループ6500人の人員削減を含む事業構造改革を発表した会見で、苦渋の決断に悔しさをにじませた。

 2021年3月期の経常損益は1000億円の赤字と、連結決算移行後で最大の損失を見通す深刻な非常事態にメスを入れない聖域はない。社員間の断層も覚悟のうえで2022年度の新卒採用の見送りも決めた。

 日本旅行、近畿日本ツーリスト、HISも採用抑制

 競合他社も事情は同じだ。

 日本旅行、近畿日本ツーリストを傘下に持つKNT-CTホールディングスは12月2日、2022年度の新卒採用見送りをそれぞれ発表した。エイチ・アイ・エス(HIS)も約600人を予定していた2021年度の新卒採用を6月に中止し、2022年度も引き続き採用を抑制する。

 HISは12月11日発表した2020年10月期の連結決算で最終損益が250億円の赤字を計上し、2002年の株式上場以来初の最終赤字に転落した。主力の海外旅行は激減し、2021年度までに海外人員を3割削減し、海外拠点も95カ所減らす。国内は人員削減をしないものの100店舗を減らし、社員の配置転換を進める。経営体制の荒治療は新卒採用も無縁でないとメスを入れる。

 旅行業界は菅義偉首相肝いりの政府による観光支援策「GoToトラベル」の効果で一息ついたとはいえ、新型コロナ感染の「第3波」が全国を襲う現状で先行き不透明感は拭えない。パンデミック(世界的大流行)で一般が観光などで自由に海外渡航できない局面が長期化するのは避けられず、人件費や店舗などの固定費を切り詰める中、新卒採用どころではない。

 ANA、JALが先行した新卒採用の圧縮

 新卒採用の圧縮は航空大手が先行して進んだ。

 全日本空輸(ANA)を傘下に置くANAホールディングス(HD)は2021年度新卒採用について、客室乗務員と空港の地上職員の採用を中止した。ここ数年、3200人程度の採用を続けてきたANAHDは、パイロットと障害者の採用に限定することで、2021年度を600人程度、翌2022年度は200人程度まで圧縮する。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus