働き方

近畿圏のテレワーク推進、首都圏と比べ低調 背景に職種の差

 新型コロナウイルス禍でテレワークやテレビ会議の徹底が求められるなか、テレワークをしている人の割合が本社機能が集積する首都圏で高い一方、近畿圏では低調だったことが、民間の調査でわかった。

 人材サービス会社「パーソル総合研究所」(東京)は昨年3月以降、全国の正社員約2万人に4回、テレワークの実施状況を尋ねた。

 この結果、昨年4月の緊急事態宣言下での調査では、東京都での実施率は49・1%だったのに対し、大阪、京都、兵庫の3府県では26・6%にとどまった。

 この傾向は「第3波」以降も同じだった。昨年11月の最新調査でも、1都3県では38・5%だったが、関西の3府県では22・1%だった。

 調査を担当した小林祐児・上席主任研究員は地域差について、「感染状況に加え、職種の差が大きい。IT業界や人事・経営企画といった本社機能が集まる東京の方が、テレワーク導入が進みやすい」と指摘する。

 ただ政府が、7日に4都県での緊急事態宣言の再発令を決定した際に掲げた目標は「出勤者数の7割減」。対策の徹底が求められる首都圏でさえ、目標値からはほど遠い状況にあるといえる。

 勤務先の姿勢も課題だ。パーソル総合研究所によると、「会社がテレワークに消極的で実施しにくい」との回答は昨年5~6月調査で8・1%だったのに対し、同年11月には10・4%に増えていた。

 小林氏は「テレワークができる業務でも、組織として推奨するメッセージが明示されていなかったり、同調圧力が生まれたりして、不要な出社が増えている可能性がある」と危惧。その上で、経営側がテレワーク推進に向けた強いメッセージを繰り返すとともに、行政が業界団体ごとの実情にあわせた働きかけをすることも重要だと訴えた。小林氏は「垂直的にも水平的にも、しがらみを解消する必要がある」とした。(野々山暢)

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