転職・起業

域外若者らへ空き家起業支援 「持続可能な宿場町」目指す福井・熊川宿

 京都と福井県南部を結んだ「鯖街道」の宿場町として栄えた熊川宿(福井県若狭町)で近年、地域外から来た若手起業家らによる空き家を利用した新規出店が相次いでいる。地区では「持続可能な宿場町」をコンセプトに、「よそ者」を積極的に受け入れることで、にぎわい創出につなげる狙いだ。

 国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されている熊川宿は、現在の県南部に当たる若狭国で揚がったサバなどの海産物を運んだ街道上にある。江戸時代には200戸以上が軒を連ねたが、徐々に過疎化が進行。人口はこの50年で半減し240人ほどに落ち込んだ。

 打ち出した対策は全戸数の3割に上っていた空き家の活用。取り組みを束ねる宮本哲男さん(67)は「古い町並みに引かれ、移住や出店に興味を持つ人に空き家を使ってもらえないかと考えた」という。だが「受け入れの仕組みがなく、最初は観光客用の冊子で案内していた」と振り返る。

 そこで2016年、入居希望者専用のガイドブックを作成。また地区のウェブサイトに物件情報を載せたり、空き家を所有しつつ今は地区外に住んでいる人とのマッチングを支援したりと、受け入れ態勢を整えた。

 その結果、カフェやリサイクルショップ、古民家ホテルなど10件以上が進出。担い手の多くが地区外から来た20~40代の若手で、町ににぎわいが芽生えつつある。

 工房「若州窯」を開いた陶芸家、飛永なをさん(43)もその一人。自分では窯を持たず、地区に古くからある窯元の窯を使っており、「そこで地域とのつながりが生まれ、さまざまなことを教えてもらっている」と話す。

 飛永さんのように、住民と交流を深めているケースも珍しくない。宮本さんは「熊川の人は宿場町気質で、『よそ者』に抵抗がないのかも」と笑う。「町並みを守ることだけでなく、新しいものを受け入れ、持続可能な地区をつくりたい」

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