社会・その他

GPS用いた居場所探索規制へ 警察庁のストーカー規制検討会が報告書 

 ストーカー行為の規制などの在り方に関する警察庁の有識者検討会は28日、衛星利用測位システム(GPS)を用いて相手の承諾なく居場所を探る行為などを規制することが適当だとすることなどを盛り込んだ報告書をまとめた。この報告書を受け、警察庁は、ストーカー規制法の改正案を今国会に提出する方針。

 有識者検討会は、昨年7月の最高裁判断を受け、同年10月に設置された。最高裁は女性の車にGPSを取り付けて遠くから居場所を確認するだけでは同法が禁じる「見張り」には当たらないなどと指摘。この種の摘発は法の規制範囲を超えるものだと示した格好になったことなどから、検討会は、最近のストーカー事情を踏まえた効果的な規制の在り方を議論してきた。

 報告書では、GPSを用いて居場所を確認する行為に加え、機器などを取り付ける行為も規制対象とすべきだとした。また、直接機器を取り付けるだけではなく、相手のスマートフォンに専用のアプリを入れるなどして位置情報を取得する行為なども規制すべきだとした。

 また、「見張り」や「押しかけ」といったストーカー行為についても、これまでは被害者の住居や勤務先などが対象だったが、GPSから居場所を特定するケースがあることなどから、被害者の行動先にも対象を広げることが適当だとした。

 さらに、メールなどに加えて、手紙といった文書の連続送付も規制。書類の交付が必要な禁止命令は、受領を拒んだり、住居にいなかったりする現状があること踏まえ、都道府県公安委員会の掲示板への張り出しなどで効果が生じることを可能とする規定を設けるべきだとした。

 被害者遺族「抑止力へ大きな意義」

 「抑止力となり、少しでも被害が減ることにつながるはずで、大きな意義があると思う。被害者の安心材料にもなる」。検討会の委員を務めた猪野憲一さん(70)は、産経新聞の取材に、報告書の意義を強調した。

 ストーカー規制法は、猪野さんの長女の詩織さん=当時(21)=が亡くなった桶川ストーカー殺人事件(平成11年)を契機に制定された。ただ、ストーカー行為はその後、多様化の一途をたどり、法の網の目をくぐり抜けるような形の事件が続いてきた。

 神奈川県逗子市で24年に女性が刺殺された事件では元交際相手の男が大量にメールを送信していたが、当時はメールは法が規制する「つきまとい」には当たらないと判断されていた。28年に東京都小金井市でアイドル活動をしていた女性がファンの男に刃物で襲われた事件でも、男は当時規制対象外のSNS(会員制交流サイト)で執(しつ)拗(よう)な書き込みをしていた。

 こうした事件を受け、これまでに2度にわたり、ストーカー規制法は改正が行われ、メールやSNSが規制対象に加わった。それでも、通信機器などの発達に伴い、今回のGPS機器の取り付けなどといった法規制から漏れた手口のストーカー行為が出現する。

 猪野さんは「科学の進歩に伴い、新たな不安材料が出てくる。包括的に規制できるのが理想だが、難しいのであれば、常に法律を見直していく会議などを設けるべきだ」と訴える。

 今回の報告書を受け、3度目の法改正の作業が進められる。猪野さんは「(報告書の)結論は検討会の全会一致での見解。被害者としても安心できるはずで、1日でも早く法律化してほしいと思っている」と話している。(王美慧)

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