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奔走7年、志半ばの退場 森喜朗氏「解釈の問題だが迷惑かけた」

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が12日、女性蔑視ともとれる発言の責任を取り、辞任を表明した。7年にわたって組織委のトップとして準備に奔走し、新型コロナウイルスによる史上初の延期後も、開幕に向けて内外との調整に追われてきた。「女性蔑視の意図はなかった」と強調する一方、志半ばの「退場」に、悔しさもにじませた。

 「私の不適切な発言が原因で混乱を招いた。多くの皆さまにご迷惑をおかけし大変申し訳なく思っている」。東京・晴海で午後3時から開かれた組織委の理事会と評議員会の合同懇談会。森氏は冒頭でこう述べ、会長の職を辞すことを明言した。

 森氏は日本体育協会(現日本スポーツ協会)や日本ラグビー協会の会長を務め、五輪招致活動に尽力。平成26年1月に発足した組織委の会長に就任すると、開催準備に精力的に取り組んだ。元首相として政界に顔が利き、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長とは太いパイプを築くなど「余人をもって替えがたい」(組織委関係者)キーマンだった。

 国内外から批判を浴びた「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などの発言について、森氏は「解釈の仕方だと思うが、多少意図的な報道があったと思う」とした上で「(女性蔑視の)意図があって言ったわけではない」と強調。五輪選手とパラ選手の扱いや、各競技の選手の男女比率を同等にする取り組みを進めてきたことにも触れ、「女性蔑視の気持ちは毛頭ない。これまでも障害のある人、ない人、同じように扱ってきた」と繰り返した。

 その上で「私自身の不注意もあったと思うが、(自分の)83年の歴史の中で、情けないことを言ったもんだなと思う」と自嘲気味に語った。

 「大事なのは五輪・パラリンピックを開催すること。私がいることでご迷惑かけるのは申し訳ない」とする一方で「老害、老人が悪いという言い方は極めて不愉快だが、愚痴を言ってもしようがない」と無念さをあらわにする場面もあった。

 一方、合同懇談会後に記者会見した組織委の武藤敏郎事務総長は、森氏の発言について「解釈という問題でなく、発言内容は極めて不適切と認識している」とコメント。一方で「(森氏が)多大な貢献をされてきたのは事実」と話した。

 森氏の後任を決めるために候補者検討委員会を設置するとし、「準備に一日たりとも遅滞が生じてはいけないと思っている。一丸となって対応に当たりたい」と述べた。

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