働き方

異動、転勤…大きな変化で「絶不調」になる人と「平常心」を保てる人は何が違うか (1/2ページ)

 春は新しい職場に移ったり、住む場所が変わったり、何かと環境の変化の大きい季節。変化の大きさゆえに体がついていかず、心身の不調が出る人も多い一方、平常心で淡々とやりこなせる人もいます。この二つをわけるものは、いったい何でしょうか。精神科医であり産業医としても活躍する井上智介さんに聞きました--。

 春は心身の不調を訴える人が増える

 異動や転勤で職場環境が大きく変わる3月、4月。新卒者は新生活がスタートします。環境が変わると、仕事内容も人間関係もがらっと変わります。またプライベートでも、心機一転、いろいろな資格に挑戦しよう、新しい趣味を始めようという気持ちになる人も多いでしょう。仕事にしろ、プライベートにしろ、それだけ変化が大きいと、心身の調子をくずして、僕のところに相談に見える方も多くなります。

 「慣れない環境で頑張っているけれど、人間関係がうまくいかない」

 「新しい仕事を始めたけれど、思うように進まない」

 「スケジュールを詰めすぎて、いつも何かに追われている気がする」

 そういった精神的なしんどさに加えて、全身がだるい、昼間はずっと眠い、イライラする、肩がこる……、体の不調を訴える人もいますね。

 相談に来るのは圧倒的に女性が多い

 相談に見える方は、圧倒的に女性が多いですね。30~40代を中心に、20代の新入社員の方もいます。女性のほうが多いのは、やはり男性よりも「人に相談する」ことに対する抵抗感が少ないからでしょう。男性は、なかなか自分の弱さをさらけ出すのが苦手です。人に相談すること自体、非常にハードルが高い。だからこそ、僕のところに届いたときには、深刻になっているケースが多いです。

 「春の不調」を感じる人に産業医が伝えること3つ

 初期症状としては、体がだるい、頭痛がする、胃が痛いなど、何かしら体の変化があります。なんだか調子が悪くて、内科に診てもらったけれど、何もなくて精神科をすすめられたという流れですね。

 症状が重篤であれば、専門医に診てもらい、薬物治療を受けることをすすめますが、生活指導まではしてくれません。ですから僕たち産業医は、主に病院ではできない生活指導をすることになります。

 そのときにお話しするのは、次のようなことです。

 (1)良いこともストレスになる

 そもそも人は変化自体をストレスと感じるので、栄転や結婚など、一般的に良いと言われることも実はストレスになります。周りから「おめでとう」「いいところに入ったね」と言われると、ますますしんどいと言える雰囲気ではなくなり、自分の中でどんどんストレスが溜まっていきます。でも、どんなことでも変化があると誰でもストレスになります。それを知っているだけで、気持ちが楽になるのではないでしょうか。

 (2)季節の変わり目は体調をくずしやすい

 春は寒暖差の大きい時期。人の体は、そういった気温の変化に対応させるために、交感神経が活発に働きますから、なかなか寝つけない、眠りが浅い、目の覚める回数が増えるなど、睡眠に影響が出てきます。だからこそ日中に体がだるかったり、イライラしたりするわけですが、そういった症状も、この時期には仕方ないこと、一時のことだととらえることが大切です。

 (3)スローペースでスタートする

 新しい年度の始まりにあたり、やる気に満ち溢れた人を見ると焦りを感じることもあるでしょう。けれど誰しもストレスを抱え込みやすい時期だからこそ、周囲に影響されてガツガツするのではなく、意識的にスローペースで前に進むことが大事です。心がけてほしいのは、いつも以上に積極的にリラックスする時間をとること。おふろはシャワーですまさず湯ぶねに入る、寝る1時間前はスマホからはなれて好きな音楽や香りを楽しむ、家では落ち着いた時間を過ごすことを意識してほしいですね。

 頑張りすぎている自分に気づいたときは、この3つのことを思い出してください。そのまま突っ走ると、5月病に発展しかねません。まず生活リズムをととのえて、健康第一にやっていくことが大切になります。

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